おもいびと ◇僕らのキセキ7 学校が別々になった。 海斗は中学生になった。 ブレザーの制服が大人っぽくて、違う人みたいに見えて戸惑った。 海斗が自分よりも大人に近い存在になってしまったように見えて。 入学祝いの家族の食卓で、おれはひとりで拗ねていた。 「変な子ね………。どうしたの?」 理由がわからない母が困って、関わりあぐねていると。 海斗がおれに笑いかけた。 「食べたら、死神対決しようか?おれ、松本副隊長卍解させたよ」 細面の清廉な笑顔がおれを優しく包んで、ゲームに誘ってくれた。 おれはいつもこうやって海斗になだめられる。 「海斗……相変わらずデカイ乳好きなんだな」 モヤモヤしてどうしようもなくて、時々嫌になる。 家族の団欒の場である食卓は、一瞬にして凍りついた。 凍りついたのは両親だけだったけど。 食事の後、おれは海斗と風呂に入って、背中を流しっこして、アソコも洗ってもらって。 でも、その頃になると。 何だか変な気分になることがあって、それがおれを困らせた。 海斗に触れられるのが気持ちよくて、ずっと触っていて欲しいと感じている。 自分はおかしくなってしまったんじゃないかって怖くもあった。 優しい海斗は丁寧におれを洗ってくれて、そんな変な事なんて言える訳がなかった。 「ずいぶん簡単にむけるようになったな。頑張ったな」 褒められるような事なのかな? でも、海斗はいつもと変わらずに笑ってくれた。 祝いの席の雰囲気を台無しにしてしまったおれを庇って、海斗はやっぱり優しかった。 僕らのキセキ ──終── [*前へ] [戻る] |