おもいびと
◆渇望14
互いに、ガキの頃とは違う身体で。
ガキの頃と同じように抱きしめ合っても。
もう、あの頃のような単純な感情ではなくなった。
服も脱がないままでいるのに。
次第に濃厚になるキスに煽られて、陸の全身がわずかに緊張を示し始めた。
無意識に腰が揺れているようで、おれのものにゆっくりと圧をかけて擦り上げてくる。
「──海…斗……」
甘い喘ぎが洩れて、舌の付け根をキスで撫でてやると、熱く速い息を繰り返してから、ピクン……と全身を戦慄かせて、陸はまた涙を雫した。
陸の快感が伝わってきて。
感じているんだな……と思うだけで、素直な身体と心が愛しくてたまらなくなる。
ただ、キスを繰り返して抱き合っているだけなのに。
たったそれだけの刺激でも、強く感じてしまう陸の感情が切なくて。
身を斬られるような、無垢な情熱を感じた。
………違う。何もかも。
例えどんなキスを与えられたとしても。
おれはきっと。
このキスしか心に残さないだろう。
おれは
おまえしか見えない
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