おもいびと ◆渇望13 ああ…… 結局は言わせてしまったし 「──陸は、汚くなんかない」 「イヤらしい……」 涙声を返す陸は純粋だ。 だからこそ、悩みすぎて自分を追い込んでしまう。 「男なんてみんなそうだ」 おれは少しだけ身体を離して、陸を見下ろした。 真っ赤になっている鼻の頭と目許が可愛すぎ。 「おれだって……硬くなってる。おまえだけじゃない」 互いの勃起が合わさったままで、おれたちは求め合う欲を自覚していた。 「海斗と、したいって思っても?」 そんな事を考えていたのか。 「おれも、してえよ……陸」 動揺に感情を揺さぶられて、泣き続ける陸を抱き寄せた。 「思うことなんて、大概一緒だ。イヤらしくもなんともない。……男なんだから……仕方がない」 ただ。 おれたちは男同士で。 兄弟で。 おれには女だっていたってのに。 陸を求めてしまうのは、多分普通じゃない。 代償行為でも何でもなくて。 陸が欲しい。 おかしいのは。 おれの方だ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |