おもいびと
◆渇望12
戸惑いを見せながら、待ち侘びていたようにおれを抱き返して。
陸はおれのキスを受け入れる。
決して怖がらせないように、優しく唇を吸い上げて、舌先でそっと撫でて。
時に熱い唇を重ねて、試すように舌先を舐めてみた。
ギュッと目を瞑ったまま、真っ赤な顔で夢中になっている様子が可愛い。
陸はまだ、おれ以外とのキスなんか知らないんだろう。
ぎこちなく応えるように差し出す舌先が愛しくて、おれの舌で包んでやんわりと吸い上げた。
「──ん……んぅ」
興奮に喘ぐ吐息は、喉元で抑えられて咽ぶような呻きに変わる。
背中を這う陸の両手は、優しくおれを撫でて、おれを受け入れていた。
抱きしめて、キスを贈る。
頬に、額に、耳から首に。
唇だけじゃないキスは、陸を押し上げて。
触れる中心が固くなっている事に気付いた。
おれは、おれ自身も同様に興奮させられてズボンの前を膨らませていて。
その隆起を陸の部分に押し付けた。
擦れ合う熱が腰の疼きを誘って、陸は辛そうに表情を歪める。
「あ……海斗……海斗!」
おれを抱きしめて、戸惑いを伝える。
「どうした?」
「おれ……変だ。変だよ……」
「何が?」
「だって………」
耳朶を吸うと、可愛い声で応えて首を竦める。
「──だって?」
そのまま耳許に囁くと、陸はまたフルリと身体を震わせた。
「おれ……海斗を………汚い目で見てる……」
泣き出した陸は、堰を切ったように涙を雫し始めて、言わせたくなかった言葉が返ってきてしまった。
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