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おもいびと
◆無常11









 近くのドラッグストアで買出ししてから部屋に戻ると、陸はまだバスルームで。逃げ出したりしなかったんだな……と安心した。

 有に三十分は経っているのに、まだ何かと格闘しているのか、と可笑しくなる。

 恥ずかしげもなく店で買ってきたゴムとローションの入った紙袋をベッドに放ってから服を脱ぎ捨てた。バスルームのドアを開けて、驚く陸を壁際に追い込んで。久しぶりの裸の付き合いに期待しすぎてどうにも興奮が止まらない。

「海斗?」

 驚く陸はやっぱり真っ赤になっておれを迎えた。

「遅い」

「だって……」

 振り向いた陸の身体はちゃんと男の身体をしていた。
 なのに触れたいと思う。抱きしめたいと、愛したいと思う。

「もういいのか?」

「や、あ……」

 バスルームの壁に陸の身体を押し付けて。抱きすくめて。おれはありったけの想いを込めてキスを贈った。
 のぼせたように首まで真っ赤に染めた陸は、陶酔したような色を見せて俺を誘う。

「……かい……と。もっと、キス……して。もっと……もっと……」

 泣きだして縋る陸は、それが情の全てであるかのようにキスを求めた。

 絡みつく舌が貪欲におれを欲しがる。

 触れ合う身体の中心は、熱が集中して拍動していた。

 おれを抱いて離さない陸。

 これから起こる事を予測して、当然のように受け入れて焦れている。



 ためらいは無かった。

 ただ、抱きしめたいと思った。



 泣いて縋る陸を置いていくのが心残りで、乞われるままに抱き寄せた。



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あきゅろす。
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