おもいびと ◆恋慕3 「おれは……それを証明してやりたいんだ。そんな汚ねえ欲なんてっっ!!」 言いかけて、考えた。 全く無いわけではないから。 なんとなく疾しい気分になってしまって陸から離れた。 言い切れないおれの弱さに気付いたのか。 陸は訝しげにおれを無言で見つめ続ける。 「…………」 その目が、おれを責めているように見えて。 ないなんて言ってしまえば、また拗ねるに決まっているし。 あるといって『ウザキモ』な感情を向けられたら、おれは立ち直れない。 おれは、意を決して、恥を忍んで白状した。 「――あるけど……」 思わず視線を逸らしたばつが悪いおれに対して、陸は冷たく無言のままだ。 さっきまであんなに盛ってたくせに。 「――全部込みで愛してるんだ!悪いか!!」 おれが開き直って訴えると、陸は困ったように眉間を歪めた。 ああ……もうだめだな。 おれはだめだ。 今まで必死に隠していたのに、台無しにしてしまった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |