高校バニラボーイズ【謹賀新年】
高校バニラボーイズ【謹賀新年】9
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シュウヤの唇から分け入って、内側から敏感な粘膜を舌先でくすぐると、その肩がブルッと震えた。
過敏に反応するようになった身体は、ひとつも余裕がなくて。
どうしていいか分からない混乱をリョウマに伝える。
快感を覚えているのは確かで。
小さな波は何度か訪れているようだ。
けれど、シュウヤの心と身体は、全てを解放する事をなかなか許してはくれない。
涙目がだんだん赤くなって、ついにはぽろぽろと涙がこぼれてきた。
頂まであともう少しなんだろうけど。
まるで、ねちねちと責める拷問に耐えているようなシュウヤの反応に困惑してしまう。
初めから掴める方が珍しいって言うしな……
達くに達けない辛さを堪えて、リョウマの期待に応えようとしているシュウヤ。
リョウマは、これ以上この状態のままでシュウヤを責め続けるのが心情的に辛くなってきた。
「シュウヤ……おれ、そろそろ達きそう」
抱きしめて、耳元で囁いて、解放をねだってみせる。
それは、シュウヤにとっては願ってもない事で、リョウマの願いをすぐに受け入れた。
「うん。いいよ……達って、リョウマ」
息を乱しながら、思った通りの返答があって。
それでも、それはそれで嬉しい。
こんなに乱れて、興奮して。
好きじゃないと言っていた行為に、自分相手ならこんなにも溺れてくれる。
与えたいと思っていた事に到達できなくても、こんなに感じてくれたなら。
冥利に尽きるってのは、こういう事かな……と思えて。
リョウマは、ふたりで楽しむことに切り替えた。
そのために、少しだけ我儘を言ってみる。
「シュウヤ?」
「──ん。なに?」
切迫した息遣いのまま、下からシュウヤが応える。
リョウマの肩をキュッと抱いて、その髪に頬擦りをして『好き』を伝えてきた。
「ゴム外していい?」
「え?着けてたの?」
「──え?」
互いに意外だと思いながら、しばらく動けなくなって。
リョウマのこめかみを伝って、じわりと嫌な汗が流れた。
「──もたないような気がしたので……」
ばつが悪そうにリョウマが答えると、シュウヤはまたギュッとリョウマを抱きしめた。
「もう!」
シュウヤは呆れた。
そんなふうに用意周到に臨むところが、自信のなさの現れだと分かるから。
呆れて抱きしめることでしか返せない。
シュウヤは、うんと甘えて熱く耳元で囁いた。
「──外してよ。たくさん、中に出して……」
「っっ!!………ええっっ!?」
いきなりレベルの高い爛れた事を言われて、リョウマは臆した。
あまりなノリの悪い反応に、シュウヤは盛り下がって憮然とする。
「や……もう、ムードぶち壊しだし」
「ごめん」
リョウマは、申し訳なさいっぱいで。
シュウヤのふくれた赤い頬にある、渇きかけた涙のあとをキスで拭った。
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