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honey-pot journey【卒業旅行】
札幌歩きました5【ゆずは】





「――晃斗……ごめんね」

夜景を見ながらぽつりぽつりと梨玖が口を開く。

「ん?何が?」

「……荷物」

「あぁ……それ……」

――やっぱり気にしてたのか

二人きりになってしゅんと萎れる梨玖の頭をわしわしと撫でてやる。

「ま、気にしたとこで、すぐ出てくるわけじゃないしさ。財布とケータイは無事だったし宿もカニも確保できたし。仕方ねーじゃん。トラブルも旅の醍醐味ってね」

「うん……」

「逆にジモティと仲良くなれてラッキーだったじゃん。道迷わなくてすむし、穴場知ってるし」

「ははっ。そうだね」

――まぁ、二人きりで甘いハネムーン……って訳にはいかなくなったけど

浮き沈みの激しい梨玖をさりげなくフォローしてやる。
失敗に沈んだままの雰囲気だなんてせっかくの旅行が台なしだ。凹むだけなら猿にもできる。
御堂と諏訪がいたこともあり、梨玖がどこまで考えてテンションを上げていたのかはわからないが、その天然の才に晃斗は感嘆する。

周りを見渡せば客は数人。
御堂と諏訪もこちらに背を向けて何やら話しているようで。

「……梨玖」

「ん?」

梨玖の振り向き様に、キス。
唇を触れ合わせるだけの一瞬。
それでも想いは通じ合う。



……愛してる。



瞳でそう語り、くすりと笑いあう。
そしてさりげなく揃えたペアリングを嵌めた手を繋ぐ。



二人で見た、はらはらと粉雪の舞う札幌の夜景は幻想的で。
この上なく美しかった。



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あきゅろす。
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