RISING SUN
駅の三つ巴 1
……という訳で、いろいろ波乱含みなおれたちの出張はスタートした。
JR銭函駅に到着したら、駅の正面に来い……って事だったけど。
店長の車が見当たらない。
部員たちのコトはさておいて、バンドのメンバーも店長の車に乗るように言われてきたようで。
会場に荷物とシゲさんを降ろしたら迎えに来てくれる手筈だったんだが。
どうやらコトはスムーズに運ばなかったらしい。
会場は恐ろしく広いし、常軌を逸した混雑ぶりだ。
こういったちょっとした遅れも予測済みだった。
夏らしいライブ日和。
……と言うべきか。
熱中症になりそうな過酷な猛暑だ。
強い陽射しを遮るため、諏訪がバッグからテンガロンハットを取り出して被ると。
女子部員たちの間から、感嘆のため息が漏れた。
まあ……気持ちは分かる。
おれたちは強い陽射しから逃れるために、もう一度駅の中に戻った。
諏訪は、焼きたくないから……と言って羽織っていたシャツを、あまりの暑さに耐えきれずに脱いだ。
身体のラインが丸見えのタンクトップ姿はかなりヤバい。
まるでカウボーイみたいな姿がやたらにそそる。
チャップスとブーツを履いただけの姿でおれに乗ってくれたら
おれはおまえを乗せて暴れてやる
おれと、ロデオゲームで楽しもうぜ
────…………。
いけない。
少し妄想が過ぎたようだ。
おれの暴れ馬が起きだした。
…………さて、店長に連絡取ってみるか。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!