RISING SUN
全員集合 3
諏訪の携帯が鳴った。
諏訪と連絡を取る可能性のある相手ならほとんどここにいる。
しかも連絡なんて滅多に取らないし取り合う習慣がない。
おれですらほとんどしない。
と言うか、コミュニケーション力がゼロに近い諏訪が、携帯を持っている事そのものが驚きだ。
「──もし………」
相変わらず愛想っ気のない応答が周囲の興味を引く。
『砒素っ娘』は、諏訪の後ろの座席で聞き耳を立てているに違いない。
「あ……」
絶句した。
相手は誰だ?
そもそも、話すまで相手が分からないって。
ケー番登録すらしてないのか?
おまえらしいな……諏訪。
「電車ん中」
場所を答えた?
「………銭函」
小学生でももっとキチンと対応するぞ。諏訪。
「手稲すぎたとこ……あー………うん」
相手の方が何枚も上手らしい。
的確な尋問だ。
多分、到着時刻を予測するために現在地を確認したんだろう。
端から諏訪に到着時刻を聞くなんて無駄な事はしない。
となると、今回のイベントとは無関係で、日常的に関わりを持つ相手ではないと予測できる。
「はい……じゃあ」
諏訪がそう応えて、携帯を切った。
はい?
諏訪が『はい』だと?
……あの女だ
おれはまた嫌な予感がした。
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