RISING SUN
ねがい2
おれは悔しいんだ。
先に夢を叶えた諏訪が妬ましい。
諏訪と離別してしまうかもしれない哀しみと。
まだ何も成し遂げられない自分自身への焦りと。
諏訪のデビューを素直に喜べないおれは、なんて小さな人間なんだろう。
諏訪は自力で、夢に向かって邁進している。
考え、行動して、進むべき道を切り拓いてきた。
仲間がいて。
協力者がいて。
大勢のファンからの渇望もあって。
なるべくしてなった、プロのアーティスト。
さすがは『諏訪朱鷺雄』だ。
「アイツには敵わない」と、おれを打ちのめしただけはある。
こうなる事くらい、どうして予想してこなかったのか。
おれは、諏訪の力を侮っていた。
何者にも屈しない根性と、頑固な程に一本気な気質。
諏訪って野郎は、本当は漢気のある大物だったんだ……と、改めて知った。
おれは、おれが守るべき相手に先に巣立たれて、どうしようもなく惨めな気分になっていた。
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