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RISING SUN
登竜門1



14時から再開したステージ。

バンドのメンバーは、運営スタッフとして、いつもと変わらない仕事を遂行する。

そんな連中の姿を眺めながら、昨夜のライブが夢のように思えて。
ステージの動きを見守りながら、おれの横で音響を管理する諏訪をちらりと盗み見た。

見慣れていたはずの、その真剣な横顔に、胸の疼きが誘われる。

あのステージは最高だった。
おれにだってそれは分かる。

連中のアンサンブルは、学生とは思えない完成度で。
プロの歌い手でさえ興奮させた。

何もなかったかのように、淡々とした様子はいつもと同じで。
あんな凄いステージで観客を沸せていながらこの余裕は一体なんなんだと、絶対の自信を見せつけられているようでいささか参ってしまう。



ああ……

そうか



『今年は自分がプロの音を創れる』と言っていたその本当の意味に、おれは今になって気が付いた。
ここにくるまでのハシャギっぷりは、あの事だったんだな……と納得する。
おれはPAとしての意味で捉えていたけど、そうじゃなかったんだ。
諏訪は、ステージで構築する音の事を言っていた訳だ。



そりゃ当然興奮するよな。
おれも、連中のあんなプレイは初めて聴いた。

いや……二度目かな。

トーマスたちとのセッションでも、同じ雰囲気があったように思う。
雰囲気と言うかオーラというか。
連中から伝わってくる熱が、ファンの内面にまで揺さぶりを掛けた。

今は、その達成感とか充実感に浸って、興奮の余韻を楽しんでいる……ってところだろうか。



予感は確信へと変わる。

こいつが一流アーティストと公認されるようになるまで、もう秒読みに入っているのかもしれない。



おれは、それを見届ける事が出来る立ち位置に並んだ。



そんな風に、おれはこの先の未来を、現実のものとして実感していた。

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