RISING SUN
いつかの夜4
今まで、傍に居るのが当たり前だと思っていた。
それが今、迫る現実に崩されそうになって、心が揺れ始める。
願いが叶う。
夢が実現する。
もしかしたら、そんな夢の成就が、ふたりの終わりに繋がっているのではないだろうか、と。
信じたくない未来を予感した。
ずっとそばに居たいのに。
多分世間は許してはくれない。
恋人としての男の存在なんて聞こえが悪い。
諏訪の評価に影響しかねない。
それでも、多分この直情ヒヨコ頭はふたりの関係を隠そうとはしないだろう。
もし、そうなったら。
離れなければならない時が来るんじゃないだろうかと。
そんな事しか考えられなくなって。
今ある何もかもを失って、ただの思い出になってしまうような。
そんな気がして。
おれは、腕の中の諏訪をきつく抱きしめた。
「言ってよ、御堂。おれ、言ってくれないと分からないよ」
抱き返す諏訪の腕の中はあったかくて。
心の奥底まで届くような熱に、少しだけ冷え込む夜の空気から守られているようで。
おれは、そのぬくもりを離したくなかった。
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