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RISING SUN
全員集合 1



「──と言うか……なんでおまえたちまでいるんだ?」

おれは、対面式の座席に諏訪と向かい合って座っている。
その横に陣取って座っているカズノリとヒロノブの存在に疑問を向けた。

おれと諏訪は店長から電車で銭函まで来いと言われて、札幌駅から電車に乗った。

座席についた途端にこいつらが現れて、当然のようにおれたちのところに座って落ち着いて。
トモアキは女連れで、通路を挟んだ隣の座席にいる。

電車が発車してから、おれは疑問を向けた。

「おれらもバイト。ステージの雑用係」

普段無口なカズノリが、おれの隣から答えた。

相変わらずさりげなく男前で。
こいつが女好きで本当に良かった……と思える。
そうでなければ、諏訪はとっくにこいつのものだったに違いない。

恋愛感情ではないから、特別な感情が通ういい仲間レベルで止まっている。

諏訪はこいつを信頼して尊敬しているし。
こいつも諏訪を特別扱いしている。

おれとは違う意味で、生涯を共に生きる相手であるに違いないと思えた。

「店長から直でメールもらって……おれら信頼されてるからな」

フッフッフッ……と、ヒロノブは不適に笑う。

こいつは難しい存在だ。

諏訪が好きなのは分かるが。
感情表現が直球で諏訪には敬遠されがちだ。

音楽的には諏訪の信頼を得ているが。

如何せん。
中身が子供すぎて相手にされないでいる。

イタチみたいだと諏訪は言う。

確かにフェレットみたいにちょこまかして可愛いんだが。
その行動にイラッとくる時もある。

「──信頼……って………」

「年末にバイトして以来だけど……。あれから色々と相談にのってもらっているんだ。だから今回は勉強させてもらうつもりだよ」

軽音部部長のトモアキらしい回答を得て、おれはスッキリと納得できて。
こいつらと店長との関連性がやっと見えた。

見えたんだが…………。
現実に納得出来ない光景があって、おれはいささか苛立っていた。

「──部活でもするつもりなのか?」

おれの指摘でトモアキは苦笑してみせた。

「まあ、軽音の祭典だからね」

隣の女と視線で確認しあって、目の前の現実を認め合う。



──イチャイチャしやがって、この野郎……



車両まるまる部員で埋め尽くして、一体どういう訳だ!?

団体で自由席占拠して。
一般のお客様への迷惑も考えろ。



おれは相当渋い表情をしていたと見える。

ヒロノブが詫びるようにおれに白状した。

「……おれが、つい参加するのをバラしたのが悪かったんだよな」

後輩に話題を持ちかけられて、自分も行くことを洩らしてしまったらしい。
しかし、それだけでこんな事態になるはずがない。

「ああ……。それで誰と行くか訊かれたのか」

カズノリが白状した。



知らない内に共犯か

そういう波状攻撃に遭わされた訳だ

いや……それでもこの事態は……



「それで……交通手段を確認されたんだ」

呆れた。

トモアキまで丸め込むとは大した手練れだ。

しかし。
この部会のような有り様は、それだけでは成立しない。

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