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RISING SUN
壇上のアーティスト4



開場とともにファンたちがどっと押し寄せて、期待に昂揚した表情を見せてステージ前に集中する。

ライブ前のこの緊張感がたまらない。



興奮の助走。



じっと力をため込んで、プレイヤーと共にスタートまでの秒読みに入る。

それは、トラックのスタートラインに立つときの緊張感となんら変わりはなくて。
短距離を引退したおれも、未だにこんな緊張と興奮を味わえるのは有りがたい。



時間だ。

アーティストが現れると、会場全体が振動するほどの歓声で満たされた。



演奏が始まる。

あとはもう、おれは観客の一人として、創造される音に集中する。



爆音が走って会場を突き抜ける。

ギターの掛け合いから始まって、ベースとドラムが重いリズムで押し広げる。



これは、奴らの音楽じゃない。
このアーティストの音楽だ。

けれど、連中は原曲を損なわないわずかな音のアレンジで、さらに華やかにメロディを飾っていた。

その特徴的なアレンジは、多分トモアキのもので。
それは、プロのアーティストを押し上げる、奴らの本物の力を見た。

ギターを弾きながら、諏訪のコーラスが入る。
プレーンな音質でヴォーカルの特徴を損なわない、コーラスの在り方を心得ている。
本当にセンスがいい。

そして、ステージを自由自在に跳ね回るアーティストは、心底楽しそうに奴らの演奏に酔っていた。

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あきゅろす。
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