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RISING SUN
壇上のアーティスト3



「御堂!!ぼーっとすんな!」

店長の檄が飛ぶ。

「あぁ……はいっっ!!」

おれは慌てて返事をして、からかうように白々しい態度で音合わせなんてやってのける連中に付き合った。

「――ドラム、バスください」

規則的なリズムでバスドラムを叩くヒロノブ。
その音量を会場の規模に合わせて調整する。

ドラムセットのひとつひとつを確認して微調整。

コイツの音はバランスがいい。
おれがコイツ等の音に慣れているという事もあるかもしれないが、安定しているため調整しやすい。

「じゃあ……回してみてください」

依頼すると、軽快にリズムを刻む。
本当に軽快だ。

それでも切れのいいビートは重く圧し掛かってくるようで。

この実力は凄い。

「次、ベースください」

規則正しいリズムの後、そのままアドリブで回す。

カズノリの暴走ベースが渦を巻くような音の波を作り上げて。
会場の外で開演を待っているファンたちが騒ぎ出した。


ギターのトモアキと諏訪は、コーラスのためのマイクのテストも入れて。
エフェクターを通して鳴らすギターは今日も喚いていた。



ゲスト奏者のキーボードのテストも終わってから、通しで演奏を入れる。

そこまで演ってしまうと、ファンはもう黙ってはいられないようで、外から途端に歓声が響いてきた。

ファンからの熱いコールが会場に届いて、怒涛のように迫りくる。

それは、正体のわからない巨大な何かの兆しのようで、想像をはるかに越える熱狂を予感させた。

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