RISING SUN
壇上のアーティスト1
妙にすっきりした諏訪と妙にげっそりしたおれ。
ふたりで会場に戻ってブースに入ると、店長が目ざとくおれたちの状態を見抜いた。
「休めって言ったろ?」
店長は諏訪に注意する。
が、諏訪は素知らぬ表情で返した。
「ちゃんと休憩した」
「上に『御』が付く休憩だろ?バカチンが!!」
雰囲気を察していた店長は、諏訪の尻を叩いた。
「──御堂ヘロヘロじゃねーか!」
店長の指摘で、シゲさんが吹き出して笑う。
……や、もうホン卜勘弁してください。
だが、尻を叩かれた諏訪が平気でいるのに気付いて、店長は驚いておれの方に注目してきた。
「やられたのは御堂の方か!?」
「やった方がヘタるってのはオッサンの常識だ」
店長の気付きに呆れたように、諏訪が鼻でせせら笑う。
おれは消えたい。
消え入りたい。
「朱鷺雄テメ!」
店長は諏訪にベッドロックをかけて、亜麻色の頭に拳をグリグリとねじ込んだ。
痛がる諏訪と、妙に生き生きと責め立てる店長。
おれはこの血縁を見て思った。
瞳さんならきっとこう言うに違いない。
『ホモばっか』……って。
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