RISING SUN
漢の証明3
挿れられた指の滑りが半端ない。
諏訪はローションを隠し持っていたらしい。
だいたいこんな時にまで、グッズ持参か?
どこまでも完全な段取り職人ぶりには心底感心させられる。
やがて、おれを拡げていた指が、腰を掴んで。
替わりに、熱いしなやかな欲棒が押し当てられ、圧迫され、太い楔が分け挿ってきた。
「……ふっっ……んぅ」
「芳、芳………。あ……ぁ」
「──朱…鷺……」
信じられない。
こんな事。
こんな事を、許すおれが。
一番信じられない。
「好き、芳。……好きだよ」
耳元で熱い息が弾んで、甘い喘ぎがおれを煽る。
「大好き……カオル……カオル」
おれを強く抱きしめて、腰を振って。
肌を打ち付ける音すら気になるのに。
いくらライブの音が大きいからって。
息遣いだって、こんなテントの中じゃ外に筒抜けだ。
ほんと信じられねぇ
こんなとこで本番噛ますって、一体どんだけ飢えてんだ。
ケダモノめっっ!
心ん中で毒づいて、それでもされるがままに導かれて。
なんだかんだ抵抗を覚えながら、青姦まがいの行為に興奮したのは否めない。
手際よく被せられたゴムん中にたっぷりトコロテンして、おれは己の弱さに泣きたくなった。
諏訪にすっかり慣らされて。
結局は、与えられる気持ちよさに抗いきれない。
おれは、いつの間にか、おれの方が諏訪の飼い猫になっていたことを思い知らされた。
そして、枕元に転がっている箱に気付いて愕然とした。
コンドーム1ダースまるごと持参……って。
どんだけやるつもりで来たんだ!?
おれは、諏訪の中に、何事にも怯まない『漢(おとこ)』を見た。
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