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RISING SUN
箝口令5



「諏訪先輩!差し入れ持って来まし…………っっ!!!!……キ………ッッん!ぐ!」


それは突然やって来て。

遠慮なく不躾、かつ勢いよく入り口のファスナーを開けて乱入して来た。



花蓮だ。



流石の諏訪も唐突に現れた邪魔者の前では、狼藉を続けられない。

が、おれのTシャツに手を突っ込んだまま、上から動く気配はなかった。

おれたちは、テントの入り口に足を向けている。

諏訪がおれの上からいなくなれば、ズボンを下げられたおれのお宝が丸見えになってしまうから。

そんなものは花蓮には見せられないと、諏訪だって思うんだろう。

花蓮は後ろにいるもうひとりの野郎に押さえられて口を塞がれていた。

「──誰だ?」

いつもの仏頂面を思わせる抑揚のない静かな諏訪の声。

この余裕を思わせる態度は癪に障るが、今はひたすら頼もしい。

「──リントっす」

軽音部の後輩。
やたら花蓮を構ってる、諏訪と同じビジュアル系の野郎だ。

ソイツの緊張がこっちにまで伝わってくる。

諏訪は何の感情も見せないまま、野郎に命じた。

「箝口令」

たった一言。
それ故に強力な命令だった。

「了解です」

野郎は脱け殻のように反応しなくなった花蓮をテントから引きずり出して、ファスナーを下ろして去って行った。



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