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RISING SUN
夏が来た!! 2



今年もやって来たロックフェス!!



……と、諏訪はいつになく興奮を見せる。

何事かと思えば、錚錚たるアーティストが集結して、2日間に渡ってライブを繰り広げる音楽の祭典が、毎年8月に石狩湾新港で開催されるとの事で。

今年は、スタッフ不足のため、おれたちは店長の伴をして、2日間音響スタッフとして駆り出される事になった。


店長は元はスタジオミュージシャンで。
その時代に音響について専門的に勉強する機会を得た……と、諏訪が話していた。


スタジオでの仕事が出来て。
こんなデカいイベントに声がかかるくらいには仕事が出来るのなら。

どうして、その業界から去ったのだろう。

しがない地方のライブハウスの経営よりも、圧倒的規模、大多数相手の音響スタッフなんて……。
憧れだと思うけどな。


店長にも。
色々事情はありそうだ。


おれにはそうとしか思えなかった。


諏訪はロックフェスを楽しみにしていて。

いつもは野宿しながら一晩中音楽にまみれていたのに、今年は自分がプロミュージシャンの音を創れるんだっっ!!
……と、意気込んでいる。


定期試験は?
と訊ねると、諏訪は「今だけは忘れさせて」と、キスを寄越して甘えを見せた。

毎日勉強だけじゃ、確かに味気ないけど。

本当に好きなんだな……と思えて。

それならどうしてまだ迷う必要があるんだろうと疑問が湧いてきた。


諏訪はデビューを迷っている。

家族から強制された、大学受験という自身の進路を確信できなくて。
諏訪の抱える事情は辛そうだ。

だからおれは、諏訪の荷物を少しでも軽くしてやりたくて。
衝動的で浅はかな選択をしていた。

おれの人生までもが揺らいで。
おれも正直迷っている。


おれは。

おれたちは。


本当は。
何処を目指せばいいのだろう。

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