RISING SUN
箝口令3
「芳」
舌先でくすぐるように耳元を撫でて。
ささやく諏訪の熱で、おれの腰から下が蕩けてしまいそうだ。
「やめろ、朱鷺雄」
「警戒心がないのは芳の方だね」
Tシャツの中に手を忍ばせて、肌をそっと撫で上げられて。
ゾクゾクと全身が粟立って、甘い疼きに切なくなる。
「なんでおれが……」
おれの抵抗は無視されて。
あごにキスが下りて、そのまま首に唇を押し当てて、キツく吸われてくすぐられた。
そんなこんなで下半身の緊張が半端なくなってしまったおれは、実に情けない状態に陥っていた。
「朱鷺……雄」
「──先輩と何があったの?」
「ない!」
即答したおれの応えに、意外そうな顔をする。
「じやあなんで先輩は御堂にまでキスするんだ?」
諏訪にしては鋭い質問だ。
だけど、不用意に事情を暴露出来るわけないだろう。
だいたい、あのとき犯られたのはおれのほうなんだ。
一方的に攻め倒されて、バック開発されて。
思い出すだけでも恥ずかしい。
信じないかもしれないけど。
「こっちが何にも思ってなくても、強引に押されることくらいあるだろう?特にあのひとは、おまえの先輩なんだ。拒否るにも抵抗がある」
おれの苦し紛れの屁理屈に、諏訪は黙りこんだ。
黙り込んだが、上から退いてはくれない。
「諏訪。降りろ」
「やだ」
「誰か来るかもしれないだろう」
「来ないって」
諏訪は怯まず、本気のままだ。
どうする!?おれっっ!!
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