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RISING SUN
駅の三つ巴 3



「――みんな……いるから……」

珍しい。
諏訪が遠慮しながらでも拒絶している。

だけど、それじゃあインパクトが弱すぎで、やっぱり彼女には通じていない。



「先輩。どっか行っちゃうんですか?」



『砒素っ娘』
もとい
『花蓮』でかした!

そうだ、邪魔してやれ
今だけは諏訪へのおさわりを許可する


花蓮はいつものように諏訪の腕に絡み付く。
諏訪にとっては『花蓮』は日常になってしまったので、そこへの拒絶はない。


女ふたりに両腕を取られて。

まるで大岡裁きだな。



なんとなくお奉行な気分で三人の有り様を見ていたが。
そんな呑気に構えている場合じゃないか……。



「――野外ライブ行くんでしょう?一緒に行こう。連れてってあげる

茉莉さんは怯まない。
怯まないばかりか、その場の雰囲気を無視して諏訪に迫る。

「ええ――っっ!?先輩は部活中なんですからね。団体行動じゃないとダメですよ?」



花蓮。
おまえはやればできる子だ。
おれは信じてたぞ。



……いや。

おれ何応援してんだ?

おれがひとこと、『店長が迎えに来る』と言えばいい話じゃないか。



おれがそろそろこの状態を収束させようとした時。

「トキオ――!!」

と、新たな挑戦者が乱入してきた。

「――先輩…………?」

諏訪が茫然として呟く。

いくらヒヨコ頭の諏訪でも、この状態の気まずさは理解しているようで。

実際何の関係もないのだが、たぶん、自分を巡っての争いなんて見たくないだろうし。
今の諏訪なら、相手の気持ちを考えてしまうんだろう。

先輩を迎えた諏訪は、そんな顔をしていた。



それなのに、さすがは牝豹だ。

周りの在り様には動じないで、いつもの如く反応できない諏訪の首に両腕を回して抱きついて、諏訪のキスを強引に奪った。

これにはさすがの女たちも度肝を抜かれて。

というか……バンドのメンバー以外のそこに居合わせた全員が唖然としていた。




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