RISING SUN
夏が来た!! 1
夏本番。
夏休みの到来だ。
と、共に受験色が本格的に色濃くおれたちを押し包む。
夏休みと言っても、学校が休みなだけで、予備校には毎日通う。
さすがに土日は自宅学習として時間を空けているが、それはバイトで潰れるから自由な個人の時間は限られた生活をしている。
あれからの諏訪は何事にも意欲的で。
平日夜のバイトを辞めたため、日中はちゃんと起きて授業を受けるようになっていた。
学校では、部活以外は屍のようだった諏訪が、生きて活動するようになったものだから。
おれたちの周りは色々と出入りが多くて賑やかになった。
おれたちは排他的だった。
おれは色々と面倒な事情に巻き込まれるのが嫌で、そつなく上辺を取り繕って流していた人間関係だったし。
諏訪に至っては、他人に興味すら抱かないため対応がぞんざいで。
自覚なしに人を傷付ける事もあった。
おれたちが、互いを大切にしたいと意識するようになって付き合い始めてからは。
ひとの想いに触れて、受け入れて、応えることの不可欠さを学んで。
例え離れていても、共感した想いは残り、生き方にさえ支配が及ぶ事を知った。
季節は足早に過ぎて行く。
けれど。
おれたちは、ゆっくりと大人になっていこうと決めた。
不必要に苛立ったり。
諦めたり。
足掻いたりするのをやめた。
確実に力を身に付けるために。
もっと時間を大切にしようと思った。
多分。
今が、人生の中でも大切な時なのだと感じたから。
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