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獣道はいりました
獣道はいりました5





快感に支配された四肢は、姿勢を保つのも精一杯な様子で。
諏訪の膝が震えて、快楽に酔いしれているのが分かる。

おれは、自分で支えきれなくなった諏訪の身体を、ベッドに仰向けに返して寝かせてやった。

頬と目許を赤く染めて熱に喘ぐ様は最高にエロくて、それを見ているだけでいってしまいそうになる。

おれは、そんな諏訪に身体を重ねて抱きしめた。

うっとりと抱き返してくる諏訪は、本当に可愛くてしょうがない。

ここまでその気になったら、もう大丈夫だろう。

ゴムを求めてその手を離れ、身体を上にずらしてヘッドボードキャビンの引き出しを開けると、不意に股間を熱くねっとりとしたものに包まれて、やおら快感に引きずられた。

「──はぅっ!!……あ!?……や、ちょぉっっ……」

腰が蕩けそうな気持ちよさに負けそうになりながら、おれはなんとか踏みとどまって、諏訪の口から竿を抜いた。

チュプッ……と音がして、諏訪は残念そうな顔を向けてきた。

「おまえ……?」

突拍子もない行動に少しだけ驚いたが。

「──欲しい」

と、上目遣いで呟く諏訪の媚態に、おれの股間の生き物は瞬時に最大まで成長してしまった。

ヤバい。
危うく出そうになった。

おれのものを手で擦りながら、愛おしそうにまた唇を寄せる。

腰が引けるおれの鎌首は、しっかり握られていて逃げられない。

完全に諏訪のエロスイッチが入ったみたいだ。
戸惑いも羞じらいも捨てて、おれを欲しがる。


そりゃあもう可愛くて。
食べちゃいたいと言う表現が、今のおれの心理にぴったりだ。



なのに、引き出しから、ローションとゴムを拝借してから。

おれはゴムのサイズを見て冷静になってしまった。



これ。
日本最大クラスのサイズだよな。

いや。
確かにおまえは大きい男だ。
諏訪。

だが、自慢じゃないがこれは俺にはデカイ。
行為の最中におまえの中に落としてしまうのがオチだ。

おれは、一番円満な解決策を考えて、誤魔化す事にした。

「──おまえ……ずっとセーフでしてた?」

ゾウのイラストのパッケージを見せて確認する。
もう、ホント。
馬を通り越してゾウってのが尋常じゃない。

「──うん」

諏訪は少しだけ後ろめたいのか、困惑顔で答えた。

「おれもそうだった……」

おれは諏訪にキスをして、深く奥まで諏訪を求めて熱を伝えた。
離れた唇からため息と喘ぎが洩れた。

鼻先を付き合わせて、甘く誘惑する。

「──おれ……おまえだけだから。着けなくてもいい?」

唇を啄んでささやくと、諏訪の表情が驚きに変わった。

「だって……汚な」

言いかけた諏訪の言葉を指先で封じて、熱を込めた視線を落とす。

「キレイだったよ……。念入りに、準備してきたんだろ?」

おれの指摘で、諏訪の顔がさらに赤くなった。

抱いてやる……と、宣言されてからのシャワーで、心積もりしてきたんだろう。
諏訪のそこはボデイソープの香りしかしなくて、中にはキレイな桃色の粘膜しかなかった。

「マーキングさせて?」

諏訪の唇を軽く吸い上げて、おれは自分の欲棒と諏訪の秘孔をローションでヌルヌルにした。

「あの……でも……」

「嫌?」

「──御堂が」

「おれはこのままがいい」

「っあ!」

おれの上反りを、諏訪の窄まりに宛がって、ゆっくりと押し拡げて中に穿つ。

膝を挙げさせて上から挿し込むと、諏訪は上手におれを呑み込んだ。

「はっっ……。ふ…ぅん」

「辛い?」

「──大丈夫」

「少し、こうしてる?」

「うん」

おれたちは抱き合って、キスをして、互いの感情に迫った。

キスをすると必ず応える諏訪がいて、おれを受け入れた身体の熱と脈動がダイレクトに伝わってくる。
おれは自分のしている行為の意味を知って圧倒された。


繋いだ身体。


重なる鼓動。



おれたちは、まるで新しい命を紡ぐように、やっとひとつの獣になった。



やがて、馴染んだ身体をグラインドさせてみると、諏訪は思った通りの反応を見せて、甘い声で絡んできた。

おれは、諏訪の声が好きだ。

透き通ったよく響く柔らかな声。

その声の持ち主は、一体どんな悦びの声を聴かせてくれるのだろうと思っていた。

想像した通りいい声で鳴いてくれる。

たまらない。

レースのカーテンで和らいだ陽射しが、暖かくおれたちを包む。
淡い光の中で、徐々に火照って熱に染まる肌と、しっとりと汗ばんだ顔にサラサラとした髪が絡んだ姿は、おれの視界から刺激を与える。

気持ちいいはずなのに、辛そうに耐えているような表情がなかなかいい。

「──御堂……。御堂……」

熱に浮かされて、うわ言のようにおれを呼ぶ声が甘ったるくて、そのたびに腰の疼きを誘われる。

おれを求める両手が空を掻き抱く。
触れられない熱に焦れて、諏訪が涙声でおれを呼ぶ。

「御堂!」

おれは、その腕を掴んで、おれの背中に導いて身体を寄せた。

絡み付く腕が、おれの背中を撫でるように這う。
喘ぎながら求める視線がおれを捉えてキスを誘う。おれの好きな、張りのある艶めいた唇。

おれはその熱い吐息を封じ込めて、口許でささやいた。

「──芳」

おれの名をささやいただけで、聡い諏訪はおれの要求を理解した。

「芳……」

「うん」

「芳」

「うん?」

「芳っっ!」

抱き付いてきた諏訪はいっぱいいっぱいで、何だか色んな気持ち善さで興奮しすぎたようだ。

おれは、抱き返す腕にさらに力を込めて、逃げ出してしまわないように諏訪を閉じ込める。

「──朱鷺雄」

身体ごと心まで独占したくて、おれはこいつに執着した。


おまえと繋がった身体が、こんなに歓びに高まっている。
まるで、感情まで繋げたようで……。


気持ちいいよ。
朱鷺雄。


おれの方がおまえに夢中になりそうだ。



深みにはまって溺れてしまうのは、どうやらおれの方だったみたいだ。




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