獣道はいりました
ふたりきりの夜2
ここまで、長い道程だった。
男同士の関係の現実を理解していなかったこいつとの付き合いは、おれに忍耐力を培わせた。
少しずつ導いていこうとしていた目論みも、先輩の魔の手に阻まれた。
だが、必ず味方は現れるもので。
ツグミ姉さん
いや!ツグミさま
感謝します
これはもう、やっていいって事ですよね?
綺麗な肌に誘惑されて、おれは堪らなくなって、悪戯心が込み上げる。
おれは、諏訪の髪を分けて、露になった諏訪の耳たぶをぱくんと唇でくわえた。柔らかい耳たぶを吸いながら舌の上で舐ぶる。
「あっ……!?」
諏訪は驚いて首を竦めたが、おれはその声を聞いて、どうにも止まらなくなった。
「──御堂!?なにすんっ……」
おれは逃れようとする諏訪をそのまま背中から抱きしめて、耳を舌先で弄んだ。
耳穴を舐めると、諏訪はピクンと全身を震わせた。
「──っっや!くすぐったい」
背中を丸めておれから離れようとする。
くすぐったい訳じゃない。
瞬間粟立つその肌は、ぞくぞくするほどの快感を感じている証拠だろう?
おれは、緊張に震える身体をイスから引きずり降ろして、そのまま腕の中に拘束した。
泡に包まれた体は、ツルツルした感触が中々いい。
「──諏訪」
おれは強引に引き寄せて、背中越しにキスを贈った。
舌先を諏訪の熱い唇に這わせてその内側をなぞると、諏訪の唇から甘い声が洩れた。
おれたちの熱い息が交ざりあって、やがて唇を重ねた。
深く侵入して舌を求めると、諏訪はためらいがちに応えてきた。
おれは、柔らかい質感のあるキスを味わいながら、諏訪の身体に手を忍ばせた。
そこはすでに反応していて、やんわりと頭を持ち上げている。
「やっっ……。止め」
キスで夢心地でいた諏訪が、驚いて我に返った。
おれはふたたび唇をつかまえて言葉を塞ぐ。
深いキスで諏訪の理性を絡め取って、まだ完全ではない漲りをゆっくりと撫でる。
おれの手のひらを押し返すように、そこはたちまち硬く熱い塊へと変化した。
諏訪のここに触れたかった。
まだ毛も生え揃っていないような諏訪のここは、どんな感触なのだろうと考えただけで欲情してしまったこともある。
だが、おれは断じて小児趣味ではない。
あくまでも対象が諏訪だから欲情したのだ。
しかも、今おれの手の中にあるソレも、断じて小児趣味に好まれる代物ではなかった。
──なんだこの大口径榴弾砲は!?
諏訪の男の象徴は、本当に男らしかった。
敗北感に呑まれない努力を怠らないでいてよかった。
スポーツをする上でのメンタルトレーニングが、こんな局面で役に立つとは……
いささか気後れしたが、おれは初志貫徹の精神を崩すつもりも、今さら諏訪を手離すつもりも毛頭ない。
泡によって滑りがよくなったおれの右手で扱くと、諏訪は堪えきれずに背中を丸めてゆく。
追い付けなくなったキスから解放された唇が、たまらない喘ぎを洩らす。
「あ……。ぅんッッ。や……」
快感が感情を支配する。
諏訪は啜り泣くような声で、おれの愛撫に応えてきた。
甘えた声が、おれをねだっているようで、おれ自身も堪らなく反応していた。
硬くなった中心の熱が諏訪の腰に当たって、おれの不埒が諏訪に知れる。
やがて諏訪は、抵抗を手放して、おれに背中を預けてきた。
「御堂……」
「なに?」
「出…ちゃうよ」
「いいよ。出せよ」
諏訪はやっと行為を受け入れて、全てをおれに任せてきた。
おれは、諏訪に気持ち良くいってほしくて、抜き手をさらに速く上下させて導いた。
左の乳首を指先で摘んで、キュッと捩る。
すると、おれに預けていた背中を反らして緊張を強めた。
スンと鼻を鳴らし、ピクンと諏訪の身体が震える。
手の中で一際大きく膨らんだその先から、綺麗な乳白色の滴が噴き出してきた。
何度も脈動とともに噴出する。
そのたびに、諏訪の身体は快感に支配されたように戦慄いた。
やがて、熱を失ったものすらも、おれの手の中に全てを委ねているようで、そのやんわりとした感触までが愛しい。
おれは、諏訪の頬に、肩越しのキスを贈った。
「気持ち良かった?」
涙ぐむ諏訪が頬を上気させたままコクンとうなずく。
おれはシャワーヘッドを手に取ってレバーをひねった。
勢い良く吹き付けるシャワーがふたりを包んでいた泡を流してゆく。
泡を流した肌は、互いに吸い付くように馴染んで密着した。
おれは、抱きしめる腕に力を込めて、陶然としたままの諏訪にキスを贈った。
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