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オリジナルBL小説
根拠のない恋愛
ソファからいきり立って初めて眉間にしわを寄せ先輩を睨んだ。
「私の話を聞いて下さい。」
「聞こう。・・・座って。」

「いいえ。このまま、言わせて頂ます。 
 私は、今借金を返す事だけを目標にしてるんです。
 学生の頃貴方を後ろについて行くだけだった自分が今
 一番輝いてる様な気がして。
それに、借金返す事が父への恩返しだと思っているんです。」

先輩は私の作った水割りを少し飲んでから私を黒い目で見た。

「君を見捨てて、逃げたお父さんの為に何故君が犠牲になる
 理由があるんだ??」

「借金をしたのは、私の為なんですよ。
 私が卒業するまでは、借金してでもあの工場を
 守りたかったんだと思います。
 だから、卒業した私が借金を返すのは筋が通ってる。
 今の私にはそれしかないんです。
 生きる希望なんですよ。」


「分かったよ。もう干渉しないよ。
 その代わりここに酒を飲みに来ていいかい??」

「・・・・。」
「高い酒を頼んだら君の給料も上るだろう。」
「先輩!!」
「そうさせてくれ、私は父がいない。」

「・・・・」

先輩の家は母子家庭だった。

先輩はタバコを取り出したので
陽はライターを取り出し元の位置に座り
火をつけた。

煙が宙を舞った
陽はぼんやりとその煙を見て自分の一人相撲な気持ちも
こんな風に消えてなくなればいいのにと思った。

抱かれた一夜がよみがえる。

「陽・・・。どうした??」
「いいえ、スイマセン。飲みましょうか!!」
「そうだな。」

先輩はバーテンを呼び止めて何かを頼んだ。
そろそろステージの時間だ。

「で、想い人とはどんな感じなんだい!?」
「えっ!!」
「詳しく聞かせてよ。 
 俺の所に来た時前の日に抱かれてたよね??」
「・・・。」

「図星かぁ。やっぱりね。」
いっそう、タバコの煙が漂った。

「でも、この頃抱かれてない・・・。」
先輩は陽の首筋を触った。
「先輩!!」


「うまく行って、ないんだ。」
「触れようともしないし、目も合わせてくれません。
 所詮一夜限りだったんですよ。」

「そう、お互い切ないな。」
「えっ!?」
「君は、その男が好きなんだろ。チョット逢って見たいなぁ。」
「逢ってどうするんですか??」
「別に??君が好きになった男ださぞかし・・・。」
「目がやらしいですよ。」

「いや・・・。見てよ。あのステージの子。」

目に入ったのはいつもの通りステージで踊る綾さんだった。
今日は一段と艶めいて見える。美形だ。

「綾さんですか??」
「綾って言うのか、俺の好みだ。早速口説こう!!
 おっ来た来た。」
 バーテンが運んで来たのは
「ピンクのドンペリ!!」
「はい、キャッシュで払うよお勘定。」

先輩は札束をテーブルに置いてステージに向って行った。

私は、ピンクのドンペリをグイっと飲んでフラッと来るぐらいにした。
そして、先輩の置いたお金の勘定を代わりに済ませた。


綾さんに平手を食らってる先輩を見て私はトイレに向った。
いきなり、告白してもそう簡単には行かないみたいだ。
綾さんを見て妙な気持ちになった。
もう、閉店10分前だ、トイレに行こうそう思っただけだった。




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あきゅろす。
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