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オリジナルBL小説
存在の大きさ
うつろな視界の中で、吉岡の悲しそうな顔を見た。
「すまない・・・。」

何を今更・・・。
抱いたくせに
それに、謝る事ないのに私が悪いんだ。
逃げたから
誰だって怒るよね。
でも、この満ち足りた気持ちは何なんだろう。



次の日、吉岡が会社に行った後、外出した。

もしも存在するならここにあるだろう。

法学部にいた私は「菅先輩」が設立する、助手をする事になっていたがこんな事になってしまった。
あれから、何の連絡も取っていない。

もう、協力できないって。
一緒に仕事ができないって。
言わないと、未練たらたらだし。


「菅法律事務所」

菅先輩の母親はやり手も弁護士で、父親はそんな自分より仕事のできる母が嫌いだったらしい。案の定、先輩が中学生の時離婚。
先輩は優しい人だった。
四歳も年下の私にタダで昔のノートを貸してくれたり、個別に勉強を見てくれた。
そんな、先輩だ。

恐る恐る、事務所のドアを開けた。
シーンと誰もいない様な感じだ。
綺麗に整えられたオフィス。
インテリアも凝っていて。シルバーで統一されている。
ずらりと並んだ本の前に何も置かれていない机が一つあった。
私の為に置いてあるのだろうか??
奥のドアを背にして机を優しく撫でた
「私以外の誰か別の人に使って貰うんだよ。」

ガチャリ
音に反応して思わず振り返ると、菅先輩が立っていた。
「せんぱい・・・」
「陽・・・。お前今まで何処に。」
「お久しぶりです。 今まで連絡もせずにすいません、あの先輩結論から言います。
 私はここで働く事はできません。 先輩と一緒に仕事はできません。」

「どういう事だ、この机は君の為に用意していたんだぞ。
 理由を言いなさい。」

そう言って机を叩いた先輩の顔は見た事の無い顔だった。

「借金を返さないと行けないんです。返すために、その金融屋から紹介されたバーで
 働いてます。」

「なんだ??どういうバー何だ??」
肩をと噛まれて上から見下ろされたが、どうしても言いたくなかった。

「知りたいんですか??」
「妙な所で無理やり働かされているんだな!!」
目を合わしてられない・・。

「無理やりではありません。
  同意の上です。自分で払い切りたいんですよ。」



「俺が代わりに払おう。いくらだい??」
「いいんですよ。ここへは先輩にお金を借りに来たわけじゃないんです。
  一緒に仕事ができないと言う事と、もう逢えないって事を。」

「つまり、お別れを言いに来た訳か。」
「はい・・・。」


ガタガタ。机に押し倒された時はもう遅かった。

「先輩??」
「そんなの許せないよ。 ずっと君を好きだったんだ。
  それが、いやらしい顔で現れていきなり別れを告げるんだもんな。
 誰かに抱かれたね??」

「えっ!?」
「しかも、昨日の事だ。この、首の赤みを見れば分かるよ。」
そう言って、ツツっと指を這わせたので声が出た。
「んんっ・・!?」
「やっぱり・・・。」
「あの、先輩??」
「可愛いね。いつまで経っても陽は・・・。クス」

先輩が笑って、唇がふいに重なった時
吉岡の顔が浮かんで来て。
足で先輩を蹴った。
自分でも思わぬ事だったが・・・。
先輩のメガネが床に転がった。


「ごめんなさい・・・。先輩 私、彼が好きみたいです。」

そう言って玄関に向った。

「そいつは、君を好きなのか??」

こう答えた。

「いいえ。ただの戯れです。」

泣きたくなった。
彼が自分の中で大きくなっていた事に。 


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