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オリジナルBL小説
屋上の告白
『やられた……。まてまて今は仕事中』 
 そう言い聞かせて、彼は提出書類に目を通した。せわしなく行き交う社員。無言でパソコン画面とにらめっこしてるものもいる。
「部長、コーヒーです。どうぞ」
「ああっ、ありがとう。……」
 コーヒーを飲むと少し落ち着いた。そして部下のちょっとしたミスを見つける。誤字である。 
『パソコンは、打てば変換するから、良くある事だな。……鮎川、珍しいな』
 コーヒーを入れてくれた、高橋はすぐそこに座っている。 
「高橋、ちょっと……鮎川ここ間違ってるんだ。直せって君から言って」
「分かりました」
 高橋が鮎川の所に行く。高橋は、総務以来の八方美人だ。気はつくし、綺麗だし。早く嫁に行け。そう思っていた。
『お似合いだな……』
 それから彼は、幾度となく彼に対して上司として接した。態度の変化に気づいた鮎川は、彼を追い詰めることになるのである。
 屋上は良く社員の寛ぎ場として使われる、別名お悩み相談室……。屋上の誰かと話す、気軽に相談に乗ってやる事、そして屋上には飛びっきりの設備がある。気持ちを受け止めてくれるバケツである。
 昔ある人が悩んだ時にこのバケツに叫んだ事から、今は誰彼構わず社員の悩みを受け止めている。そんな屋上で、一人彼は缶コーヒーを片手に、はるか下を行き交う忙しない車や人を見ていた。
 時は、夕暮れ、彼はしばしの休息の時間をゆったりと過ごしていたのだ。
『あと十分、そろそろ戻るか……』 
 くいっと缶コーヒーを空にして彼は、振り返った。
「……、なんだ鮎川も休憩か?」
「いえ、少し部長とお話が」
「何?」
 鮎川の言い分はこうだった。何故避けるのか?自分は何かしたか?悩んでいるらしい。
 シュンとなって鮎川は、頭を垂れる。
「忘れないか? お互いに」
彼の出した、答えだった。
「忘れる?? ……どういう意味ですか?」 
 彼の言い分はこうだった。電車での事は、訴えたりしない。自分の家であった事は、お互いに忘れよう。というものだった。でも、鮎川は納得のしようもなかった。
 去ろうとする彼の手首を掴んで引き止めた。 
「待って下さい!!部長、せめてはっきり言って下さい。俺、ヘタでしたか?だから」
「違う、そう言う事じゃない」
改めて自分の気持ちを話した。それでも色々並べ立てた。まだ若いんだしとか、やっぱり間違ってるだとか、ただ一つ真意であろうものは昔好きになった奴に似てるだった。
「部長が、好きだった人? 男……ですか?」
「だから俺はやめとけ」
「何なんですか!? どういう理由、部長、俺の事嫌いって訳じゃないんですね?……嬉しいです」
「あっ……、ふぁっお前!?」
唇を塞がれつつも身を引く彼の腰をしっかりと自分の腰に寄せた。グリっと刺激されたそこはもう熱くそして硬い
「鮎川っ、ここで!?」
「そう、ここで部長だってこんなにしたまま戻れないでしょ?口でしてあげますよ」
「待てよ、せめてそこの影に行かせろ」
ぐちゅっと根元までほうばる鮎川、そんな光景を見たくない彼は目を瞑ったが、音だけが耳に響いてそれも最悪だった。
 彼は、自分がこんなすれた生活をするとは思ってなかった。抵抗するのももどかしくてただ
『早く終われ』
 そう思っていた。ぐっと上り詰めて来て、脳裏を白くしたと思うと、出たということが分かった。それは鮎川の喉にぶちまけられ、喉を通って行ったことが分かった。
 放心状態で、壁に寄りかかっていると丁寧に汚れを拭かれて、パンツもズボンも着せられた。そして笑って
「戻りましょうか??」
 そう言われた。彼は黙って鮎川の後ろを歩いて戻った。


つづく


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