おおふり タカレン←モトキ完 心から・・・。 「榛名さんが来て、ちょっときまづくなったけど、阿部君は優しかったよ///」 にへらと笑う三橋が、微笑ましかった。 「へぇ〜良かったじゃん」 「榛名は何しに来た訳?」 「それは言えない」 「何で!!」 つっかかる田島を、栄口がなだめた。 「そっか、ごめんいいよ言わなくて」 そんな話を阿部は立ち聞きしていた。 でも私情と野球は別、いつも通りに三橋の球を受けた。帰り普段は阿部が三橋の事を待つが、阿部はさっさと着替えて三橋を置いて行こうとする。 「あっ阿部君待って!!一緒に帰……」 さっきまでの雰囲気と全然違う、人を寄せ付けないオーラを出してた。 更衣室は異様な雰囲気に包まれて、誰も笑い声なんて出せなかった。 「悪いけど、今日は一人で帰って」 そう言葉はまだやんわりだが、語尾は強く反論を許さない程だった。 いきなりの拒絶だった。 バタリと阿部が出て行くと、空気が一気に和んだ。 「何怒ってるんだろうな?」 「気にすんなよ、三橋うわ!!」 ボロボロと溢れる涙は、もう止まりそうにない。 「……阿部っ君、オレの目見なかった。部活中は普通だったのに(涙)」 「阿部は、そういう奴だと思うよ。部活中は野球してるんだから、極力私情を挟まない様に努力してる」 「泉……」 「そうかもな、でも何に対して怒ってるのか分からなかったら、対処出来ないぞ」 「ほっておけよ、田島。二人の問題だろ、大体お前ら二人が、首突っ込むのが駄目なんだ」 「花井までそんな事言って」 「いや、あり得るよ田島。オレ達三人の会話を阿部が聞いてたら??」 《ヤバイ!!》 「オレ、阿部君の家行って来る!!」 「行くたってお前まだ着替えて……」 「おお!かつてない素早さ!!」 ピンポーン 「あの、阿部君は??」 「兄貴なら、荷物置いて……公園じゃないかな?」 「あっありがとう!!」 「誰だ?あれ」 『悩んでる時はいつもここに来る。初めて野球を知った場所だ……。しなびちゃって、子供も遊んじゃいないな』 「はぁ〜。ってこんな時間に遊んでるわけないか、もう9時半か……」 『早く帰んないと、明日がしんどいけど…少しだけ』 ポケットからボールを取り出して、壁に当てては拾いそれを繰り返した。 『それにしても何、三橋の奴。オレの前でしか見せない顔で他の奴に笑いかけたり、しかも田島と栄口にオレとの事話してるし!』 「すげームカつく!!」 そう言って投げたボールは壁に当たって、阿部の所に来る前に、人の手に拾われた。 「荒れてるな〜隆也どうしたの?」 「何の用です……」 「この間の返事聞きたいと思ってね。今から俺とバッテリー組む事は出来なくても、会う時間はあるしね」 「無いですよ、しつこい」 「でも、こうして会えてるじゃん」 「……帰ります、返して下さい」 「返事は?」 「あんたみたいな最低の投手とは、二度と組みたくありませんよ」 その言葉を聞くと榛名は、大人しくボールをこっちに差し出すので阿部は近付いた。 引き寄せられるとは思っていた。 でも、そのボールは大切なものだった。 落としたボールの変わりに、手の中に引き入れたのは隆也の唇だった。 「うっ、はぁ……っ元希さん!!放して」 「その呼び方久しぶりだな。分かったよ、お客が来たみたいだしね」 『……三橋』 距離の近い二人の前に、息を切らした三橋が立っていた。 「あっ阿部君から、放れて下さい」 「ほれっ!」 背中を押されて、三橋の元に行かされた。 「あっ、元希さん!」パシ! 「じゃあな」 ヒラヒラと手を振って帰る身勝手な奴、手に戻って来たボールを優しく触った。 「阿部君、こっち向いて」 「無理、俺後ろめたい……」 「榛名さんにキスされてた。オレ、見て嫌だった」 「オレだって嫌さ!元希さんとキスすんのも、お前が他の奴に、あんな顔見せんのも!お前が皆にオレとの事話すのも、嫌なんだよ」 「ごめんなさい。阿部君」 「三橋……」ちゅっとキスされた。 「これで綺麗になった」 「ハハ、サンキュ(涙)」 「阿部君?!」 「心配すんな、笑い泣きだよ」 クチュ 三橋を抱き寄せた、阿部はベロチューする。 「あっ、阿部君こんな所じゃ」 「そうだな、やりたくなっても、集中して出来ね〜しな」 「出来ないって!阿部君っ恥ずかしい」 「三橋だって、恥ずかしい事言ってたじゃん!」 「……うん///」 「今更、恥ずかしがんなよ」 「うん、阿部君。もう榛名さんとキスしないで」 「三橋も田島とかに相談しないで、俺に直接いいな」 「うん」 「あとエロい顔は、オレ以外の奴に見せるなよ!」 「たっ多分その時オレ……阿部君の事考えてたんだと思う」 「///、ハズ……」 「阿部君、帰ろ」 「ああっ、送るよ。お前チャリか?」 「うん、着替えてそのまま来たから、入り口の所に置いてあるんだ。阿部君、今日はオレが送る」 「分かった」 後日 「もう一球!」 「……」 パシー!! 《ありがとうございました〜!!》 「三橋!!」 ビク 「阿部君///」 「三橋、お前きょどるか照れるか、どっちかにしてくれない?」 「ごめん……」 「今日の投球、良かったぞ!」 「本当に!」 「試合もこの調子で頼むぞ!」 「うっうん」 「さっさと帰ろうぜ」 「あいつら、仲直りしたよな?」 「みたいだね」 「三橋からは?」 「無し、三橋〜多分阿部に、口止されてるんだ。まぁ見守る会だしね」 「あっ阿部君、その……」 更衣室に向かおうとする阿部を、引き止めて。 「何??」 「その……」 ピキ 『きょどりを見ない様に』 「溜めずに言えよ。オレ、短気だからさ」 「昨日のボール、大切なもの?」 「ああっ、初めて買って貰ったボールなんだ。それだけだよ」 「そっか……」 「オレとも、いっぱい思い出作ろうね。これからもっ、一緒に」 「ああっ、勿論!!」 とグッドポーズをして笑ってくれる阿部に、三橋も笑いかけた。 「それって、プロポーズ??」 「えっ??うっ……」 「今すぐ、三橋食べたいな、今日家泊まりに行ってもいい??」 そう耳元で囁いた それが、二度目のお誘いだった。 アトガキ どこまでもラブラブな二人。 いちゃいちゃし過ぎじゃないか?? 見守る会は果たして維持できるのか?? 榛名さんが出て来ると黒くなっちゃうな・・・。 あ〜、今度の話はゲンミツにタジハナに挑戦してみるぜ!! [*前へ][次へ#] |