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おおふり
タカレン ゲンミツに進展!!



「で、どう出来た?」

「えっ、あっまだ」
「何が解らない?」
「……」
「三橋、オレ聞かれても怒らないぜ。理解して貰う為にここにいる訳だし。今日はもうオレしかいないし、聞けよ」
「ここが、分かりません」
「あぁ、これはこの公式使うんだよ。解き方は………こうな」
そう言って、三橋のノートに書き込んだ。
「そこの練習問題五問、10分な」
「ほへっ」
「スタート」
図書室の時計を見て、スタートと言われた。
教えて貰った公式を使って、解き始める。

シャーペンの音だけが響く。

外はもう暗い

「その問題とけるまで帰さないからな。って言ってももうここ閉まるな。教室行くか、三橋。……」

ウトウト

「起きろ三橋!!」
「ごめんなさい……(涙)」
「まぁ、いい。今日帰ろう。お前も疲れてるみたいだな。テストも近いし、体力つけとかないと」



「……(涙)」
「帰るぞ、片付けろ」
「うん」


『あ〜、くそ何でこうなるんだ。泣かせたい訳じゃないのに……オレ、口悪い反省』

「あっ阿部君待って!!」
考え事をしながら阿部は、三橋を置いて図書室を出て階段を降りていた。

「えっ??あっごめん三橋」
「阿部君っ怒った?」
「嫌、オレが悪いんだこの性格は直りそうもないよ。さっかえっぞ」
階段を降りて、廊下を歩く。

「阿部君、オレ達付き合ってるよね?」

「おおっ」
阿部が振り返らず答えるので、三橋は大きい声を出した。
「キスして欲しいんだけど」
「何っ言ってんだよ!?」
駆け寄る阿部、泣きながら訴える三橋。

「だって阿部君してくれないし……、オレもう我慢出来ないよ!」

自ら阿部の首に手を回してくちづけた。


一瞬だけ軽く。
そうして三橋は、阿部の胸に顔を埋めた。
「……///」
「恥ずかし///」
「やった奴が恥ずかしがんな、オレまで緊張してくる。顔あげてみ……」
「……」
「三橋」
阿部は、三橋をキュって抱き寄せて上からくちづけた。
少しの身長差が、ちょうど良いキスの差になる。


二人だけの差だ。


「お前、唇荒れてるな」
「ごめっ」
「謝んな、オレが舐めてやる」
阿部の舌が、自分の唇の上を這う度に声が出た。
人生初めてのキスが、こんなに気持いなんて。

「相性悪くないな」
「……、阿部君もっと」
そう目を閉じると
「我慢!!」
そう肩をバシっと叩かれた。
「はい……」




『もっとキスして欲しいなぁ〜』

『三橋のせいで妙にはめはずした〜』



テスト後の部活後



「あれ〜、三橋。お前、リップ何か付けてるの?」
着替えた後、リップを唇に滑らせる三橋に、声をかける田島。
「うちでやってるのって、水谷ぐらいじゃない?」
「三橋は何使ってるの?」
と着替えかけの水谷が近寄る。
「メンソレータム」
「色気ないな」
「みっ水谷君な何使ってる??」
「男のくちびる」自慢げにそう言う。
「それっていい感じ??」
三橋が興味しんしんで、水谷の唇を見る。

「男のくちびるの方が色気ないだろ、メンソレは女子に人気あんだぜ」と泉。

 イライラ

「でも男専用だし、女が使うやつより効くって!!」
「水谷の言う通りじゃね〜」と田島。
「オレも、そっちに賛成」と栄口。

「お前ら、早く着替えろよ!!」と花井。
「三橋、今だけオレの使ってみろよ、値段もそんなに高くないんだぜ」
 イラッ!!
「うっうん」
バン!!そう勢い良く、ロッカー閉めると皆の視線が、阿部に向けられた。

「くだらね〜。どっちでもいいだろ!!」

そう一喝して思わず、部室を出た。
着替え終わってはいたし……。
内心三橋と今日も帰りたいと、思っていたが。
我慢した。

自分の性格のせいでまた怒鳴り散らして……。

『にしてもあれだろ、一時的とはいえ水谷のリップ借りるとか言いやがって!!リップなんてしなくても、俺がしてやるって言ったろ!!……三橋、怒ってるかもな』

そうして、自転車置き場に向かった。



部室では。
「阿部怒ってたな」と巣山。
「まずったな。阿部がこんなにデリケートだったとは」
「阿部がいるから、早く着替えろって言ったのに!」
「水谷が、リップ貸すとか言ったのがまずかったんじゃない??」と田島。
「えっ、オレ!!てーか阿部どうしたの??どう言う事??」
「泉も巣山も西広も知ってるな??」
花井の言葉に三人がうなづく。

「何だ、水谷だけ知らないんだ……。栄口、水谷は知らないままでもいいじゃない??」

「そうだね、とりあえず、今は小さくなってる三橋を立ち直らして。皆で帰ろう」
「おい、どういう事なんだよ!?」


「三橋〜、大丈夫かぁ??」
「栄口君っ……阿部君がぁ、オレっ怒らせた」
「大丈夫だって、明日会ってちゃんとお前の思ってる事、言ったらいいよ」
「明日、じゃ駄目だ!」

「えっ!!」と皆。

「オレ今から、阿部君の家行って来る!!」

そう言って、てきぱきと着替えダッシュで部室を、出て行った。


「はぁ〜、これでまた一歩進展だなぁ〜」
「進展するきっかけが、喧嘩ってどうよ」
「だから、俺らがいるんだろ!!田島」
「おうっ!!栄口」
そう言って肩を組む二人は、三橋の小さくなっていく後ろ姿を、見えなくなるまで見守った。


「なっ!!三橋と阿部って、そう言う関係なのか!!」
「はい、皆解散。お疲れ〜」
花井の言葉と共に皆歩きだす、衝撃を受けている水谷を残して。





阿部宅

ピンポーン

その頃阿部、自室のベットで不貞寝。

「タカ〜!!タカ!!降りて来なさい!!お友達よ!!」
「短気だなぁホント……」
階段を降りて玄関に行くと、まだ息の荒い三橋がいた。

「三橋……」
『きまず〜。そうしちゃったのは、オレだけどな』
「……」

「タカ何やってんの??早く自分の部屋に案内しなさい。お茶後で持って行くから」
「上がれよ……」
「うん」

きちんと整頓された部屋には、皆と撮った写真や、野球用具が置いてあった。
勉強もしっかりしているようで、机の上もきれいにしてある。
「適当に座れよ」
そう言って、自分はベットの上に座る。
三橋は荷物を隅に置いて、阿部の横に座った。
しばらく、沈黙があった。
その時、阿部ママが入って来た。小さな丸いテーブルに、お茶とクッキーを置いて出て行った。
「食えよ」
「うん、……阿部君、オレ何怒ってるのか分からない」
「……、お前が謝る事ないよ、オレの嫉妬だよ」
「しっ嫉妬!?」
「声、大きいよ、三橋」
そう言って三橋に、クッキーを持たせた。
「しちゃ悪いか??」
「ううん、嬉しい」
「オレ、最初は恥ずかしかったよ。オレばっかり三橋の事好きみたいで」
「オレも阿部君が、オレのこと好きなくらいっ阿部君の事好きだよ!!」

「おおっ」
「阿部君には、オレが投げたい……。他の人が投げるボールなんて」
「お前相当重症だな……オレもだけどな」
「……うん」

ばりぼりばりぼり

「うめ……」
「阿部君」
「何??お前食わないの??これうまいんだぞ」
「キスしてみて」
そう言って、迫って来る。
「待て!!下に親いるし、弟もいる夜も遅いし、帰れ」
「確かめて欲しいんだ。っ……メンソレ効いてるかどうか、それだけっ」
小さくなってそう訴えるのが可愛いくて、このまま帰すのは勿体無くなった。


「いいよ、来いよ」
そう腕の中に誘うと、三橋の体はすっぽりと阿部の胸の中におさまった。
お互いの体温を感じると、心が落ち着いた。
唇を重ねると、プルリとした唇になっているのが分かった。
「効いてる」
「ホント??良かった」
「送ってく」
「うっうん」


次の日

「三橋、オレが使ってるリップ、お前の分買って来たんだ」
「水谷君、いいよ。オレ、メンソレあるから。それに……」
「それに……??」
「フヘ!!」

「!!」

「今日の三橋は、上機嫌だな〜」
「あの二人は、ゲンミツに進展している!!」




「三橋、キャッチボールやんぞ」
「うん」






アトガキ
一緒に勉強
リップ話でした。
これ面白い
自分でも気に入りました。


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あきゅろす。
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