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おおふり
アベXシノ 僕らの恋は甘く切なく。
「何何処が分かんない?」
「これ。」
「ああっ、これね。これは…」



「…、あっそっか!」
「理解出来た?」
「うん、ありがとう阿部君。」
「篠岡は教えやすいよ、
比べるのは悪いけど三橋と田島はやりずらい、特に三橋ね」
「三橋君とは、上手く行ってる?」
「正直分かんない。あいつ嘘つくし、聞いてんのか聞いてないのか分かんないし」
「うん」
「でも三橋はオレに嫌われたくない。その一心でそう言う態度取ってるんだとは、思ってるんだけど……あっゴメン脱線した」
「いいよ、阿部君、何が分からないんだっけ?」
「英語」
「えっ!」
「篠岡点いいだろ、教えてよ」
「うん」教室で休み時間二人で勉強。



「……、…成程ね。じゃあここは?」
「これはね。母音だから」
「……」
「おい、ラブラブ。阿部、マネジ独り占めすんなよ」
トイレから戻って来た水谷
「はぁ、お前も教わればいいじゃん」
「オレは英語は、得意だもんね」
イラァ
「阿部はすぐに、そうやって怒るから三橋がビクビクしちゃうんだよ」
「分かってるよ、だから我慢してる」
「そっ阿部は、最初の時より我慢してるよ」
「お帰り花井君、監督なんだって?」
「風邪」
「風邪だぁ〜!」
「モモカンが風邪……何か嘘みたいだな」
「じゃあ今日の部活は……」
「花井、お前が何やるか決めろよ。たまにはメニューにない練習しても、面白いんじゃないか?」
「そうだなぁ〜、じゃあバッテリーを仲良くさせる為にはどうしたらいいか、皆で考えるって言うのはどうだ?」
「花井、いいよ。そんな事は!オレは、あいつと徐徐に仲良くなって行くつもりだし、あいつだってそう思ってると思う」

「阿部は三橋に気を使ってる、だから阿部は通常より疲れると思う。三橋の性格がそうさせる。皆が気を使ってる訳だけど、それが少しでも改善されたらもっといいプレイが出来ると思わないか?」

「キャプテン語る〜!」
「真剣に聞け!水谷」


「あの性格は三橋のせいだけじゃない、過去の経緯が大きく関わってる」


阿部が静かに語るので、クラスの雰囲気は一気に沈んだが、ベルがなるとビクっと皆の体が連動して四人は現実に戻った。
「ごめん、また雑談した。忘れて今言った事、三橋の事はすぐには解決出来ないよ」
「……阿部君」


「三橋、投球練習」
と阿部がいつもの様に、きょどっている三橋に声をかける。
「阿部と三橋は、今日の投球練習他のやつと組んでくれ」
「えっ?」

「分かった、田島三橋とやってくれ。花井、沖行こうぜ」
三橋は、硬直して阿部と二人の姿を見送る、ベンチでは
「あれ、今日は花井君が、指揮取るとは聞いてたけど
……バッテリー同士の練習は??」

「三橋君を阿部君だけに任せるのは、チームとしてダメだって話になったんです。三橋君を抜いて、皆の意見が一致して……。それで今、第一関門です」
「関門?」
「はい、一に三橋君を遠ざける、そして平たくても皆との信頼関係を築く。」

「遠ざけるっていうのは?誰と?」
「阿部君です、阿部君はいままで一番に三橋君の事を考えて来ました。でもそれで改善されても、それはチームに馴染んだと言うことではなく、阿部君と仲良くなったと言う事で、それはチームの為にならないんです。阿部君の負担を減らす為に、皆で三橋君の面倒を見ようって事になったんです」


「ふ〜ん」
「……すいません。説明長くて」
「いいよ。監督は知ってるのかな?」
「いいえ」
「そうか。監督がいなくても、皆チームの事を考えているんだね」
「私、とても皆が頼もしいです。夏大楽しみです!皆の頑張りは、私がよく知ってますから」

「期待してるのは特に阿部かな?」

「えっ?」
「篠岡、分かりやすいね」
「あっ、いやアハハ!!」
と二人馬鹿笑いをした。

『うわ〜、私の気持ちバレバレかぁ〜。でも阿部君にはバレてない。私が中学の時から、片想いしてる事』



理科での実験の時

「止めろよ、水谷。量間違えると危ない実験だって、言われてるだろ!?」

「いいからいいから、実験ってもんは、何事もチャレンジだぜ」
「……」
チリチリと試験管の中の、液体が音を立て始めた。

そこへ通りかかった篠岡。

『絶対、何かやべぇ……』

「皆伏せろ!篠岡こっち」

ぐいと手首を引っ張って、自分の胸の中に隠す。
試験管は飛び散り、辺りは騒然となった。

「水谷、だから言ったろ!」
「阿部、落ち着け。怪我したやつはいないか?」
「阿部君っ!血が!!」
阿部の背中に、一つの赤い点があった。
「……、大丈夫だ。これくらい。」
「篠岡は阿部と一緒に保健室。水谷と花井は、散らばった破片を片付けるんだ。その後時間があれば、再実験」



保健室

「それは、先生の監督不行き届きね。でも飛んだ破片で少し血が出ただけね。破片は残ってないし……、大丈夫。消毒してバンソーコでOKよ」

「良かった……」




「ごめん、阿部君」
「気にするんな、篠岡のせいじゃないし。傷もバンソーコで治るよ」
「うん」
「そういえば、中学で同じクラスに一度もなんなかったけど、クラス一緒だしマネジもしてくれてる。
これからもよろしくな」
「うん、こちらこそよろしく」
「篠岡、ソフトやってたっけ?」
「うん、ショート守ってた」
「じゃあもしも水谷がダメダメだったら、篠岡入ってよ」
「それじゃ、水谷君が可哀想だよ」
「そうか(笑)」
「そうだよ(笑)」

廊下を理科室に帰りながら、そんなとりとめのない話をした。その時篠岡は十分、幸せだった。

でも、その日
阿部は背中が気になって、捕手としての練習はしなかった。風邪が治って部活に来た。モモカンに三橋の事について話した。
「なるほどね。」
ベンチで、田島と投球練習する三橋を眺めながら、話は進んだ。
「三橋は今でも、皆に言いたい事言えないんです。特にオレの前では、ずっときょどってますね」

「会話はある程度必要だけど、三橋君にいきなりそれを強要するのは無理と判断したのね。私はゆっくりでいいとは思ってるけど……あの性格だしね」

「はい……あっ今日はオレ、次の練習相手のデータとか頭に入れたいんですけど??資料ありますか??」

「ああ、それなら。千代〜」
「はい、監督」
「言ってたやつ出来てる??」
「完璧です、え〜と」
自分の鞄を探り探り
「これです」
「ありがと」監督に手渡された篠岡手作りのノートは、阿部に手渡された。

監督が皆に指示を出す為に立ち上がって、交代にマネジが座った。
「読みにくかったら、ごめん」
「大丈夫、良く出来てるよ」
「ありがとう」
「今日の仕事はほぼ終わり??」
「うん、あとはおにぎり出すだけ」
「そっか、おっ!!」
「えっ何??何か間違ってた??」
「いや、自分の知らない事が書いてあるから。オレも、調べが足りないな」
「阿部君は、選手のデータとか凄く良く知ってるよね」
「最初はやっぱり捕手としてしか見てなかったけど、もう趣味かな」
「そっか」
「でも、篠岡も相当だな」
「趣味かな」
また二人で笑えた。





アトガキ
阿部と篠岡がちょっといい感じなお話。





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