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おおふり
駆け引き ハルアベ
「試合で一球投げる変わりにオレを抱くですって?
冗談じゃない、だったらサイン通り投げて下さいよ」
「何?隆也お前は、オレについてなきゃレギュラー出来ないぜ」
「っ……」
「お前がオレの言うこと聞くなら、サイン通りに投げてやるよ、ただし本気は一球だけ」
「いいですよ」
チームの為なら自分の体なんて、どうせ一時の感情なんだろう、そう思った。
榛名の部屋に行くと直ぐ様行為が始まる、慣れない行為に恥じらっていると。
馬鹿にされる様な気がして、なるべく声を出さない様に、感じてない振りだってした。
結局この人に振り回されてる。
いきならバックから……
「痛いっ!!」
「我慢しろよ」
「そんな、無理っ!」
「キツイ、力抜け!」
「あっ!嫌!!」
「落ち着け、隆也」
ヌルリと濡れた熱い棒と耳に舌を這わされると、ドクンと波打つ体。一気に突っ込まれる榛名のモノに、自分が吸い付いているのが分かった。
「あっ、ふぁ!!」
「隆也っ!あぁ……っ」
「嫌っ!やっ!」
ドクドクと自分の中に流れる液体。


『キモチ悪』


ぐったりとしているオレに、かけられる言葉は
「親が帰って来るから、早くシャワーでも浴びて帰れ。」だった。

それを聞いたオレは、もうその場に居たくなかった。少し軋む体を起こして服を着て、あの人の顔なんて見ない様に出て行った。


夜空を見ながら思った。
こんなの本当の繋がりじゃない、本当にあの人と繋がりたいのは、野球でバッテリーとしての繋がりだ。
バッテリーとしての。

「……元希さんにこんな事言っても、無駄か」
次の試合で始めて、サインを無視されなかった。でもその代価に不謹慎にも自分の体を、与えた。
でも人と人との繋がりは、それだけじゃないって思いたい。

だから

「嫌ですってば、元希さん!!」

更衣室のロッカーに押し付けられても、抵抗した。
今回だけは
「何だよ、今更抵抗すんな」
「……いいんですよ、もう」


「いい、だと……」

「監督に言って下さいよ、もうオレとは組めないって。オレはもう、あなたの球は受けられません」

「……」
「別にもうサインなんて要らないでしょ。だったら他の人と組んで下さい、オレは他のチームにでも入って再スタートしたいって思ってるんです。バッテリー組みたいんですよ」
拘束の手が緩んだので、その隙に腕の中から抜け出し荷物を担いだ。
「元希さんから。監督に言って下さい。オレも明日言うんで」
「待てよ、オレの球はお前にしか取れないんだぞ」
「新しく誰かをしごけばいいでしょ、オレの時みたいに」
「……隆也オレは!」
ドアを開けて、捨て台詞を吐いた。

「それから、一つだけ元希さん。ヘタですよね、ガッカリしました。じゃお疲れ様です、お先に失礼します」と他人行儀に言ってやった。



元希さんが、オレの気持ちを無視した分仕返がしてやりたかった。子供みたいな事だが、これぐらいがあの人には十分だ。

『違う高校に入れば、組まなくて済む訳だし。高校でオレの理想の投手を、オレの為に育ててやるぜ』

オレはその時少し立ち止まって、空を仰いだ。
まるで自分だけが傷付いた様に装った、それがあの人の最後の顔を忘れる手段だった。



アトガキ
元希の本当の気持ちを聞かないまま
別れを告げちゃう阿部君。




アトガキ
暗すぎシリアス過ぎでしょ。そして短編、まぁ私短編の方が好きですけどねヽ(o` ∀ ´)ハルアベむずいむずい。


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