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3話
朝が来て。見送りに、カンクロウとテマリが来た。

あいつは、ぎこちなかった。

「じゃあな。わざわざ来てくれて嬉しかったぜ」
「……」テマリは、何も言わない。

アスマやチョウジ達は、歩き出してしまっている。

「じゃあな」
シカマルも背を向けて駆け出す。その時。

「おい!!」
テマリがいつもの声で、シカマルを呼び止める。
「何かあったら私が助けてやるよ。泣き虫さん」

「ばか。男が女に助けられるのは、もうゴメンだ。じゃあな」
シカマルも、そう吐き捨ててしまった。
テマリへの気持ちも一緒に。



それからも色々あったが、中忍試験の日がだんだん近づき、俺はテマリを国境手前の、茶屋まで迎えに行く事になった。

小鳥のさえずりを聞きながら、俺はチョウジが食べたがるだろう 三色団子をほうばっていた。

チョウジが
「最後の一個はなんびとたりとも……」
言う所を想像して、茶を少しこぼした所にテマリは立っていた。
「よう、時間通りだな」
あんまり顔を、見れなかった。


『おいおい。また、ドキドキしてきた……』

「団子を食べている、時間はあるのか??」
テマリは、隣に座って言った。
木の葉の風が、シカマルの鼻にテマリの香りを匂わせた。
「いや。あっやるよ」
シカマルは、まだ手をつけていない団子を、テマリの前へ差し出し、奥にいるおばちゃんにお茶を頼んだ。

「ここは、いくら茶飲んでもタダだから」

「お前??具合でも悪いのか??」
「えっ??」


「なぜそんなに、かしこまってるんだ??」
テマリは、団子を持ったままシカマルの顔を覗きこんだ。

「気にするな!いちいち」
「……」
「……」
テマリはフンっと顔をそむけて、団子をかじった。
「はい。どうぞ、熱いから気をつけて」
「ありがとう」テマリはおばちゃんに礼を言った。
シカマルは黙りこくったまま、何かを考えている。

『あー、くそなんか可愛く見えるのが、不思議だ』

「シカマル。そろそろ行こう」
「ああ」
シカマルは代金を払って、おばちゃんに礼を言った。


昨日は雨で、川の水位は上昇していた。

二人が川の近くで休もうと思い、川まで行った所、大木や上流に溜まっていたゴミなどが、流されていた。
それぞれ弁当を開けてほうばった。小鳥は鳴いて、森の風はとても心地よかった。
そんな時、川を何か生き物が流れて来たようだ。
「なんだ??」

シカマルとテマリは、同時に気がついて立ち上がった
「??」
「子鹿だ!!」
シカマルは叫んで濁流の川に、走りこんで行った。

「バカ!!待て!!」
テマリが止めるのも聞かずに、自分の胸まである水かさの川に入って行って、流されている小鹿を受け止めた。
「つかまれ、シカマル!!」
テマリはロープの先端を輪にしてシカマルに投げた。
見事救出。

「なんて無茶な。いつもは頭使う癖に、私がいなかったらどうなってたと思ってるんだ」
「考えてる、余裕なんてない」
シカマルは震える小鹿を、自分より先に拭いてやっていた。
「大丈夫。怖がるな……俺達はお前を食ったりしないよ」
シカマルは、静かに凍えそうな恐怖と助かったと言う安心感に震える小鹿に言って、優しく体を拭いてやっていた。

「火をおこそう、タオルで拭いただけじゃ十分じゃない」
テマリはそう言って、薪を探し始めた。


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あきゅろす。
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