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風のトバリ4

   新たな出会いと新たな別れ

 「ハヤテはここで待ってな。」
ゲンマはハヤテを残し任務受付窓口に向かった。

ハヤテはため息をついて、春まじかの青白い空を見上げ・・・うつむきまた息を漏らす。
ふっとハヤテの前が暗くなる、顔をあげるとハヤテの眼の前に一人の忍びが立っていた。

「ため息なんてついてると幸せが逃げるよ。」
その男は左目を隠し口も隠している。こんな人が忍び??ハヤテは驚いた。
誰だろうこの人は??
「見ない顔だけど、ここで何してんの??」
「人を待ってるんです。」
「そっ、誰かに襲われない様に気をつけなよ。・・・」
「襲っ!!」ハヤテは眼を見開きその忍びを見た。その人はふっと笑ってゲンマが去って行った方へ歩いて行く。
「ああ。名前なんって言うの??」
その人は立ち止まって言った
「月光ハヤテです。」
「ハヤテ  またね。」・・・ハヤテも名前を聞こうと追いかけ様とするが足が止まる。
ゲンマとその人が話しているのが見えた。

「遅くなってごめんな・・・行くか??ハヤテ??」
「あの、ゲンマさんが今喋っていた人誰ですか??」
「ん!?・・・カカシだよ。」ゲンマはハヤテを見てハヤテはカカシの行った方を見て話は進んでいく
「カカシ??」

「木の葉の上忍だよ。結構仲いいだぜ。
俺は特別上忍だけどな・・・・何かあったのか??」

ハヤテは我に返り。
今あった自分の気持ちをすべて否定した。
「いえ、何もないですよ。」
ハヤテは無理をして、冷たい風の様に微笑した。




木の葉の門に立つ二人。
「何か足が必要だな。」
ゲンマはそう言って、巻物を取り出し何かを口寄せするのか、いつも口に銜えている楊枝の先で自分の親指を刺し無理に血を出した。横にいたハヤテは
「何にしてるんですか!?」
ゲンマを止めようとしたその時

ハヤテはなぜ自分がゲンマの事を心配したのか、この時はわからなかった。
だがそんな事を考えている時ではないらしい。
ゲンマが「口寄せ!!」と叫ぶ。
煙の中から現れたのはトラの様ないやそれよりも少し細身だが、足の爪は鳥にくちばしの様に鋭い。大きさは大人二人が乗れるほどだった。
ゲンマはその動物に跨って話しかける
「よう。銀・・・今日は任務なんだけど、野暮用があってね。
ハヤテって言うんだけどこいつも背中に乗せてやって。」
ハヤテの顔が不安で曇っていく。
ハヤテはまさに山の天気の様だ、すぐにきまぐれに表情が変わりそして、反抗したりもする。
「私!!乗りません。」
「いいから、乗りな!!さっさとハヤテの故郷に着けるから、人間の足で行くよか早いぜ。」

ハヤテの顔は驚いて頬がナメクジに塩をかけた時の様に硬くなる。
荒々しく襟首を掴まれて乗せられたのだった。
そしてなんの合図もなく走り出してしまう。
ハヤテは思わずゲンマの背中にすがりつき、止まるまで離さなかった。
「・・・・ハヤテ着いたよ。
  そろそろ離してくれないかな??」
ハヤテは驚きのあまりゲンマから手を離した瞬間に落ちたかと思ったが、目を開けるとゲンマに抱き止められていた。「落ち着きなよ。」
「すいません。」ゲンマはハヤテをゆっくり下ろして。「着いたぜ。」と向こうを向いた。
その時ハヤテの目の前にあったのは見慣れた短冊街の看板だった。ここから一里ほど西に行ったところに北スラムがある。忌まわしい記憶。
今もその中から抜け出せていないハヤテの精神。
すべての事が走馬灯の様にハヤテの前に現れる。ゲンマはぼーっとしているハヤテに声をかけ呼び戻す

「ハヤテ、家族に会って来い。
俺は今から任務にだから、今日の夕方ここで会おう。
いいな。」

「はい。」ハヤテは素直に答えた、だが偽りがあった。もうこの人といたくないと思っていた、家族と暮らしたいのがホントの気持ちだった。
ゲンマはハヤテの気持ちを見抜いていたが何も言わずにその場を立ち去った。ハヤテは静かにそれを見送り、短冊街のはずれにある自分の村まで走ろうと思いたって、ばっと走り出した。
短冊街を抜けていつもかけた小道を突きって、家の間を走り抜け自分の家に着いたと思った・・・

何もない瓦礫の山になった、生まれ育った家
ハヤテの絶望のに砕かれた心のカケラが声になって漏れた「どういう事??なんでこんな事に!!」ハヤテはその場に足を折られたかの様にガクッと膝をつき頭を抱えた。  動けなかった。
太陽がだんだんと雲に隠れていく。

「・・・ハヤテ!?」ハヤテが後ろを振り向くと隣のいつも親切にしてくれていたおじさんが立っていた。ハヤテは泣きべそをかきながら、立ち上がり、必死の思いで吐いた。「私の家は・・・親父は、優!!
初江はどこにいるんですか。」
ハヤテは知らないうちにおじさんの着物を掴んでいた。
「まぁ落ち着いて話そう。
うちに入りなさい。お茶を出すよ。」そう言っておじさんはハヤテを家に招きいれ、落ち着いてから  ハヤテの家族について話し始めた。


雨が降り始めた、雨はハヤテの何もかもを洗い流してくれる。誰にも見られたくない涙さえも。
ハヤテはおじさんの家を飛び出し、小さいながらも川になっている川の流れを意味なく眺めていた。しゃがみ込んで。

なぜ父が母に逃げられたのかやっとわかった気がする。金使いの荒さ、女遊び。
挙句には自分の子供を売る。優も初江もどこに売られて行ったのか・・・
なぜそんな事ができるのか・・・自分の子供なのに!!ひどい!!ひどすぎるよ。
なんでなんで  

「なぜなんだ父さん!!」ハヤテは思わず叫んだ。

と、その時ハヤテに降り注いでいた雨が止んだ。

だがそうしているうちにもう一人は雨に打たれていた。「夕顔!!」ハヤテに傘を差し出しているのは幼馴染だった夕顔だった。
ハヤテは思わず立ち上がり夕顔に傘を押しやった。
またハヤテが雨に濡れる。

「(ごほごほ)やっぱりここに戻って来ると咳が出るよ。久しぶり。」
ハヤテはあからさまに顔に笑顔を作った。が、夕顔は言った「笑わなくてもいいよ。
もう知ってるんでしょ全部。」

「うん。聞いたよ。でも落ち込んでる暇なんかないみたいだよ。夕顔・・・私は父さんを探してこの事を謝罪してもらう!!いいやいっそ殺してもらおうか。夕顔君は私のきょうだいが何処に売られたのか知ってる??」
夕顔は悲しい顔になっていった。
「ごめんなさい。わからないの。」
それ以上何も言わなかった。

「わかった。ありがとう。」ハヤテはその場から立ち去ろうとしただが、夕顔に腕を取られた。
「待って!!何処に行く気なの家がもうないのはわかってる。うちで一緒に住もうよ。
それならハヤテも安心でしょ!?」

「私にはもう、頼れる人が出来たんだ。
だから夕顔のところには行けないよ。」
「誰よ!!その人私より大事なの??」
「たぶん。だって私を遊郭から救ってくれた人なんだ。だから今私はここにいるんだよ。」

夕顔ははっとなって身を硬くしている、ふっと傘が地面に落ちる。
「男の人!?」
「うん。」夕顔はもう何も聞かなかった、聞けなかった。知るのが怖かった。
夕顔は顔をそむけてただ雨に降られる。
「ごめんね。」
ハヤテはゲンマの所に帰ろうとおもい、重い足を引きずって元来た道を歩く。
まるで心が空っぽになった蛇みたいに
まるで出来損ないのロボットみたいに
まるで人の形に作られた人形みたいに
自分が何の為に生きているのか分からない。
ワカラナイ。判らない。解からない。
ああ、何の為に人は生きるのか??君は何の為に生きているのかと訊ねられたら答えられるかい??私はもう分からなくなってしまいました。


ただやるべき事は一つ父に、復讐する事だ。
やってやる!!

ハヤテは約束の場所でゲンマを待った・・・だがなかなか来ない。もう日が暮れる。まだ来ない。だんだんハヤテは不安になってくる遅い遅すぎるもう夜中になってしまった。ハヤテは村の門の前の階段に座り込んで頭を抱える。
遅い遅すぎる。何で何で??
また捨てられたのかな  嫌だそんなの!!

もう誰とも離れたくないのに・・・違う!!私はゲンマさんと一緒にいたいんだ。
もっとあの人に甘えたいんだ。
もっと触れたいしもっと触れて欲しい!!
なのにもうあの人は私に飽きてしまったのか。

「ハヤテ!!遅くなってごめん。」
突然眼の前にゲンマが現れる。
「な〜に涙目になってんだ!?」

ハヤテはゲンマに抱きついて
「あなたが遅いから。」などと、可愛い事を言ってしばらくゲンマが何を言っても離れなかったが、突然ゲンマから離れる。「ゲンマさん。血のニオイがする。」
「今、気付いたのか、ちょいと手にかけたからな。
でも任務は無事終わったぜ。
後は帰るだけだが・・・。どうする??」

「えっ!!」ゲンマはハヤテの顔を見て返答を、待つ。「俺はいいんだぜ。  お前が家族といたけりゃここにまた住んだらいい。」

ゲンマはふっとハヤテに表情に気づく
「ハヤテ??・・・」
「ゲンマさんに頼みたい事が。
忍びとして私の父を殺してくれませんか??」
「お前の父親を!!どう言う事だそれは??」
「私の父は私達兄弟をみんなどこかの遊郭に売りさばいて・・・逃げたんです。」
ハヤテは言い終えて、重くなった身体を階段に下ろす。ゲンマは言葉が出なかったが、ハヤテにこの傷つき様を見て早く休ました方が言いと思った。
ゲンマはハヤテ立ち上がらして、言った。
「とにかく木の葉の里に帰ろう。ここにいたって何も進まない。」すでに泣いているハヤテをまた銀に乗っけて、夜道をひたすら走った。

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あきゅろす。
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