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結界師
正X黒良守  風邪の治療1
正X黒良守


「…、えっ?!兄貴が風邪で倒れた??」
「そうなんだ。あっちじゃゆっくり休めないらしいから、
今日こっちに帰って来るらしい。」

「ふ〜ん。…行ってきます。」
そう言って立ち上がった息子の背中に声をかけた
「あっ。良守…今日父さん小説の方が手が離せないと思うんだ。
だから、正守の事…」
「分かったよ。父さん、兄貴の事は俺が見るよ。」


家に帰って来るともう兄貴の気配がした。
鞄を置いてそっと兄貴の部屋のふすまを開けると父ではなく
利守が布団の側に座っていた
「利守、兄貴どう?」起こさない様に小さな声で尋ねた
「うん、今お粥食べて寝た所。
薬も飲んだんだけど、熱が高いんだ。」
「そっか、利守。代わるよ。」
もう何度かタオルをしぼり直したのか手が赤くなっていた
「分かった、お願い。」


ふすまが閉まってやっと側に座って久しぶりに顔を覗き込む
氷水に手を伸ばして冷えているのを確認してからそっと兄の額に乗っているタオルを取って氷水に浸した。

やっぱり手を浸けるとさすがに冷たい…

ぎゅっと絞って熱い額に乗せる
「…ちょっと痩せたな。」
自分が思っている以上に正守は切り詰めた荒んだ時間を過ごしているのかもしれない。
だから、
たまに帰って来た時ぐらい優しくと言うか

素直になりたいけどいつも会うとそうは行かなくなる。
反発してしまう。

『本当はしたくないのに。』

「…。」

スヤスヤとは行かないがとりあえず落ち着いている兄を見て安堵する。
ぼんやりと顔を見ていると普段ちゃんと顔を見ていない事に気が付く

「やっぱり、顔似てるな。」


兄弟なんだなって実感はあまりないがやっぱり似てる
そう思って正守の頬を触ったらゆっくりと正守が目を覚ましたのでとっさに手を離した。
「良守…」いつもと違って熱ぽく弱々しい声が自分を呼ぶ
「ごめん、兄貴起こした 」平然を装った
「…、良守、お前昼寝しなくていいのか?
それに一緒の部屋にいたら風邪がうつるぞ。」
「人の事より自分の心配したら。」
そう言って良守はタオル越しに兄の額を触った
「良守。」真面目な顔になるので
「分かってるよ、ちゃんと昼寝するからさ。
兄貴も寝たら?」
「ああ。もう少し眠るよ。」

目をつむったと思うとまたこっちを見て

「…ごめんな良守。せっかく帰って来たのに。」
「何が?!」
「エッチな事してやれなくて。」
「何バカ言ってやがる!!」
そう言って氷水を投げそうになったが止まった
「よせよ…本当にごめんな、治るまでは不能かも。」

『恥ずかしいやつ』そう言ってまた目を閉じた。
『兄貴…。』しばらくぼんやりと兄の顔を見ていると、眠たくなった。



利守に起こされると夕飯時でしばらくの間兄から離れた。


夕飯を食べてから本格的に自分の部屋で睡眠を取り、烏森に出掛けた。

「正守さん風邪でかえって来てるんだって?」
兄の事になると時音は話しかけて来る
「うん、だいぶ落ち着いてるけど。」
「これ、渡しといてくれない?」
「何?」手渡されたハンカチに包まれた小瓶を見つめた
「うち秘伝の風邪薬、飲んだらすぐに良くなるから。」
「分かった、飲む様に言うよ。」
「お願い、良守も気をつけなさいよ。」その一言が嬉しかった。




「良守!いたよ。」
「おう、任せろ斑尾!」
でも何だか複雑だった、優しくて好きだけど俺を受け入れてくれそうにない人と、嫌いだけど俺の事好きって言って来ては意地悪するあいつ。「結!滅!天穴!!」
どっちも好きだからどっちも大切にしたいし失いたくないなんて我が儘だな。って思った。
でも兄貴ってあんまり俺の事気遣ってくれないよな。
体の事とか自分本意だし…。

「ちょっとだけとか言って、ちょっとじゃ済まないし。」
「何、言ってんだい?あんたは。」
「別に〜、斑尾今日はもう終わりしようよ。もう来ないよ。」
「何言ってんだい。」
「…、兄貴が何だか気になるんだ。」
「先に上がっていいわよ。」と時音が言ってくれた。
「じゃ、斑尾置いてくよ。後宜しく。」
薬の用意をして兄の部屋のふすまを開けた、さすがに4時過ぎ家の中は静かだった。
『寝てるな、薬は明日でもいいかも。』
またタオルを取り絞って額に戻した


『冷たい…、起きると良守の白いかじかんだ手が見えた。』

「良守?…仕事は。」
「片付けは時音に任せて帰って来た。」
「そっか。」
「これ、時音から風邪薬。明日飲んで。」
「うん…良守ももう寝たら俺は大丈夫だから。」
「分かった。お休み。」





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あきゅろす。
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