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「…ぶっ」


角を曲がったところで誰かにぶつかった。
もう既に授業が始まっているのに変だと思いながら顔を上げた。


「す、すみませ―――」

「綱吉…?どうしたの、制服が…」





俺は目の前の人に抱きついた。

懐かしい匂いと声が俺を包み込む。





「ひば、りさん…ぅ、うわぁぁぁぁ雲雀さ…っ、ごめんなさい、俺…」
「ちょ、落ち着いて綱吉。何があったの」




(言わなきゃ。ちゃんと伝えなきゃ)


本当はずっとこうしたかった。でも出来なかった。


俺はずっと逃げてて、また喧嘩するのが嫌でそんな空気に耐えられなくて。


でもそれじゃあいつまでもすれ違ったままだった。




「俺、雲雀さんが心配してくれてたことに気付けなくて…っ、勝手なこと言っちゃって、…っごめんなさい」
「つな…」
「ずっと避けてたことも、ごめんなさ…ひっく、本当はずっと雲雀さんの傍にいたかっ―――ひゃぁっ」



全てを言い終わらないうちに、今度は雲雀さんに抱きしめられた。
まるで壊やすい物を包むように優しく抱きしめてくる。



「僕もごめん…。手をあげるなんて最低だった。ごめんね…」
「雲雀さん…」
「今更だけど…嫉妬してたんだ。君があいつと仲が良いことに…」




それから雲雀さんは何度もごめんを繰り返して、全部話してくれた。
骸に嫉妬してたこと、殴った後すぐ謝りに行こうとしたこと、でも素直になれなかったこと、
ずっと謝ろうとしてたこと。




「―――綱吉」





俺と雲雀さんはキスをした。


長い長いキスをした。


その時間はすごく幸せで、身体が溶けそうな程甘くて、俺はこの人が大好きなんだって改めて思った。





「ごめんね…。好きだよ、綱吉」

「俺も雲雀さんが大好きです!」



まだ恥ずかしくて言えないけど―――、

俺はやっぱり愛してます、と心の中で言い直した。









「綱吉君!おはようございます!」
「うわっ、骸!」


次の日の朝、俺は骸に抱きつかれる―――と思ったけど、腕を引っ張られて避けることが出来た。


「僕の綱吉に触らないでくれる」
「あー…、仲直りしたんですね、えぇー…」


俺は昨日雲雀さんに骸にされたことを全部話した。
雲雀さんは咬み殺すってすごく怒ってたけど、見逃してくれって頼んだらしぶしぶ承諾してくれた。


「っていうかお前、なんていうか…思ってたより普通っていうか…」
「えぇ、昨日の綱吉君の泣き顔に心を打たれたんです。本気で好きになりました!」
「はぁ?だから俺は雲雀さんと…」
「君さ、昨日は綱吉にいろいろしてくれたらしいけど、僕が全部消毒したから。ね、綱吉」
「は、はい…」


あの後応接室であったあんなことやこんなことは俺と雲雀さんしか知らない。
逆に誰かに知られても困る。


「え…、綱吉君がキズモノに―――」
「煩い。…行くよ、綱吉」
「あ、はい…っ」








(もしまたすれ違うことがあったとしても、貴方とだったら出逢える気がします)








それは運命とかそういう類のものじゃなくて、








ただ単に、











貴方が好きだから―――。


END

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