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*安心して
部屋を飛び出して来た俺の目の前に、何故か遅れて部屋を出たであろう恭弥さんが立っていた。
その顔に笑みや困惑した表情はなく何を考えているのか分からない。




「全く、逃げようなんて思わないでよ。久しぶりなんだから、君みたいなご馳走」

「恭弥さん…?」

「もう無理してそう呼ばなくていいよ。気付いてるんだろ」





何にですか?


貴方が俺の探していた、町を騒がせている吸血鬼だったことにですか?


それとも―――









怖い…、









俺は踵を返して再び逃げようとした―――が、強い力で腕を引っ張られて壁に押し付けられた。
背中を打って多少の痛みが走る。

見上げると恭弥さんの見惚れてしまいそうなほど綺麗な顔がすぐ近くにあった。
微かに笑った口から姿を現したのは、鋭いキバ――――。



不穏な光を発するそのキバで噛まれるのってどんな感じなんだろう…。




「抵抗したら吸い殺すよ。…痛いのはほんの一瞬だけだから、安心して」




耳元で静かに囁かれてゾクッと鳥肌が立った。
見つめられる視線が少しずつ下りてきて、首筋に唇を押しあてられる。
髪の毛が頬に当たってくすぐったい。




「ん…っ」

「綱吉、力抜いて。すぐ済むから…」





(どうしよう、このままじゃ俺…。逃げなきゃ…っ)


恭弥さん…甘い匂いがする。ココナッツみたいな良い匂い。
そういえば夕食にはハンバーグとココナッツだけが異常に多かった気がする。
もしかしたらその二つが好きなのかもしれない。



(って、俺何考えてんだろ…。怖いのに…、退治しに来たはずなのに)





カリ、とキバが肌に刺さる感触がした。

次の瞬間俺は無意識に手を恭弥さんの肩において、






「…や、嫌だ!」






無理矢理恭弥さんを突き放して偶然近くにあった扉から外に出て森に向かった。

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あきゅろす。
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