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「リ、リボーン!」
「さっそく手ぇ出してんじゃねぇか、雲雀」
「っ…これは違う…」



目の前でせかせかと和服を直す沢田。
いや、直すというか、かえって乱れた気がするけど…。



「ツナ、ちょいと席を外せ」
「え?俺どうすれば…」
「風呂に草壁がいると思うから、手伝ってきて」


適当に言うと沢田は、はいと真っ赤な顔で頷いて和室から出て行った。





僕と赤ん坊だけになった室内には、先程とは違う変な空気が流れている。





「で、何しに来たの?」
「止めに入ってやったんじゃねぇか。俺が声をかけなかったらおめぇ本当に手出してたぞ」
「は?」



どうして僕が沢田に手を出すんだ。そんなことをしたら、それこそドン引きだろう。
赤ん坊の言うことは時々理解できない。


(…まぁ肌が露わになったあの子を見てちょっと動揺したけど)









―――動揺?









何、それ。

どうして僕は動揺したんだ。

無意識で脱がしてしまったなら一言ごめんと言って直してあげれば良かったのに、混乱してそれすら出来なくて…。









(……っていうか僕、さっき…)









除いていた平らな薄い胸を見て









乱れた沢田を見て









僕は、












―――触ってみたい、












そう思わなかったか?








「……っ」


何、僕って変態だったの。まさか。
男の胸を見て触れたいと思うなんて…、今まで女子にだってそんなこと思ったことないのに。

でも現に僕の視線は沢田のそれに奪われていて、逸らせなくて。

赤ん坊の言っていることはある意味正しいのかもしれない。





なんだろう、この感情。







最近の僕はいつもあの子のことを考えていて、気付けば目で追っていた。
点検や廊下で会えた時は嬉しいし、一日中いい気分でいれる。


そしていつからか、あの子が絡まれているところを見つけるとほうっておけなくなっていた。
その子に触るな、そう言いたいけど何故か口に出来ない。
代わりに口走るのは、言いたいことと掠りもしない言葉。







「赤ん坊、僕は」





「―――それは恋だぞ、雲雀」





「恋…?」




僕は目を見開いた。


(僕が沢田に恋?恋って…好き、ってことだよね…)





あの子を思って嬉しくなったり、

くっついてほしいと思ったり、

一緒に居られる時間を心地よく感じたり、

時々胸が痛くなったり、





それは僕はあの子を好きだから―――?





「…僕は恋なんてしたことないからよく分からないな。この気持ちがそうなのかな」

「まぁ初恋なら分かんねぇかもな。でもどうせ頭の中はツナでいっぱいなんだろ」

「どうして知ってるの」

「それが恋だからな」







―――そうか、僕は沢田が好きなのか。



やっと分かった。



誤魔化し続けていた自分の気持ち。



多分ずっと前からそうだったんだ。









僕は沢田に恋をしている。

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