■気づかなかった頃には(ザンスク) スクアーロは綺麗だ。 8年ぶりに会ったカスは髪が異常に伸びてて、でもそれも綺麗な銀髪でサラサラで。 身体もしっかり鍛えてあったし、あの幼い顔つきは何処かへ行ってしまっていた。 俺が目覚めた時にはらしくねぇ涙流して喜んでくれた。 8年間、俺は眠りっぱなしで変わらねぇのは当たり前だが、 カスも俺の知ってるカスのままでいたことが、正直嬉しかった。 ただ一つを除いては。 「ザンザス、明日から3日間休暇を貰うぜぇ」 「……………ああ」 前々から決まっていたことだ。 カスはその休暇を家族の為に費やすらしい。 「でもなんかでかい騒動が起きたらすぐ呼ぶんだなぁ」 「てめぇなんぞいなくても問題ねぇ」 「はっ、よく言うぜぇ」 別にてめぇなんかいらねぇ、なんて思うわけがねぇ。 最近気付いたことがある。 まさかどうしてあり得ねぇと自分と格闘したが、どうやらそれは本当だったらしい。 Io ti amai. でも遅すぎた。 8年という歳月はあまりにも長くて、全ては過ぎた後だった。 俺がいない間にカスは恋人が出来ていて、俺が目覚める3年ほど前に結婚したらしい。 家族が出来ても俺には忠実だし、ヴァリアー幹部で生活してる。 仕事もちゃんとこなすし実績も相変わらずトップだ。 「やっぱお前についてきて正解だったぜぇ。俺はその怒りに見せられたんだぁ」 「そうかよ」 「ああ、お前は最高の男だぁ」 クソが。 てめぇは一生俺についてくるんじゃなかったのかよ。 今までずっとストーカーかと思うくらいベッタリだったくせによ。 俺が一番じゃなかったのかよ。 そう感じてやっと気付いた。 こんなことなら気づかなければ良かった。 知らないふりをして通り過ぎれば良かった。 俺はてめぇが好きだ。 でも遅すぎた。 8年という歳月はあまりにも長くて、全ては過ぎた後だったんだ。 気づかなかった頃にはもう戻れない。 END ザンスクはボス視点の方が断然書きやすいです(笑) ザンザスのキャラがおかしいのはスルーで← ありがとうございました! [*前へ][次へ#] [戻る] |