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「ああああー…なんかもう既に疲れた…」



やっとの思いでお城に着いた俺は、ヒリヒリするお尻を片手で撫でた。
…今更だけどあんなに尖がっている馬車に乗った俺もすごい…。


フラフラしながらお城の扉を開ける。するとそこは別世界だった。




「…っうわぁ…!」




思わず感激の声が漏れる。
美味しそうなご馳走に綺麗なドレスを着た女の子、その中でも一際民衆の視線を集める人物が中央にいた。



「あのっ、王子様!これよかったら食べて下さい!頑張って作ってきたんです!」

「私はクッキーを焼いてきたんです!ぜひ私のを…」

「あー…いやー、俺昨日腹壊しちゃってさ、あんまり食えないんだよな…。ごめんなっ」



(…あれが王子…?っていうか軽…っ)

もっと紳士的で落ち着いてる人だと思っていた。予想と全然違う。
それよりも俺は初めて見る目の前の豪華なご馳走に目を奪われていた。
いつもは覚めたご飯や食べない時が多かったから、余計に気持ちが高揚する。



「どれから食べよっかなー…!あ、あれ美味しそ―――」

「ねぇ君、僕と一曲踊ってよ」



大皿に伸ばそうとした手をふいに誰かに掴まれた。
何処かで聞いたことがあるような声の主を探して振り向くと、仮面をつけた黒髪の男の人が立っていた。

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