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コンコンッ



「おばあさん!こんにちは」

「しししっ、遅過ぎなんだよ庶民が」

「え、ごめんなさい…」



おばあさんは壁に立てかけた絵画に、ナイフを突き刺して遊んでいました。
具合が悪そうな気配は全くありません。
するとおばあさんが赤ずきんの後ろにいる狼さんを見て、口を歪ませました。



「げ…なんで狼がいるんだよ…。俺ペットならもうミンクがいんだけど。つか王子が狼なんて飼うわけねぇし」

「何言ってんの、貴方に飼われるなんて考えるだけでも反吐が出るよ」

「あ…あのー…」



赤ずきんはバスケットを握りしめて二人を止めようとしました。



「っていうかそれだけ元気なら出てってくれない?邪魔なんだけど」

「あ?ここ俺の家なんだけど」

「これからこの子を頂くからさ、貴方がいると気が散るんだよね」

「王子は誰の言うことも聞かなくていいんだぜ、しししっ」

「…っ咬み殺す」

「わ―――!落ち着いてください二人とも!トンファーとかナイフ閉まってくださ…」





これから殺し合いが始まる―――と思ったその時、扉を乱暴に開けて猟師が家に入ってきました。





「大丈夫ですか!赤ずきん!」



狼さんとおばあさんの動きがピタリと止まります。
そしてトンファーとナイフは猟師めがけて飛んでいきました。



「ちょおおおお!危ないじゃないですか!っていうかなんでまだ赤ずきんが食べられてないんですか!」

「誰、こいつ」

「さぁ?誰でも良いけど僕と赤ずきんの邪魔をするやつは容赦しないよ」

「何か違う意味に聞こえますけど!?」

「何でも良いですけど早く食べて下さいよ!でないと僕が助けられないじゃないですか!」

「もちろん、これから美味しく頂くよ」

「だから何か意味違いますって!って、服脱がさないでください…!」



狼さんはまだおばあさんと猟師がいるというのに、赤ずきんの衣服を脱がし始めました。
首筋をペロリと舐められて変な声が出る赤ずきん。



「や…っ、お、俺なんか食べても美味しくないですから…!っ…ぁ、やめ」

「そんなことないよ。すごく食べ応えがありそう」



それを見ていたおばあさんは、



「あー…そういうことするんだ。へぇ…じゃあいいや。出てくよ」



と言って家から出ていきました。
同じく猟師も、



「その調子です!早く食べちゃってください!そして僕が助け出しますから!」



このシーンはやり直しですね、と言って家から出ていきました。

狼さんは猟師がいなくなったのを確認すると、すぐに鍵をかけました。



「それじゃあ、いただきます」



END

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あきゅろす。
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