*T
むかしむかしあるところに一人の少年がいました。
少年はいつも赤い頭巾をかぶっていたため、みんなから赤ずきんちゃんと呼ばれていました。
「おいダメツナ、ちょっくらおつかいしてこい」
「やだよ面倒くさい。これから獄寺君達と遊ぶ約束してるんだ。母さんが行けばいいだろ」
「…おめぇ、俺に歯向かうとはいい度胸だな。死ネ」
そう言って赤ずきんのお母さんは銃を取り出しました。
「うえええああああ…!落ち着いてよ母さん!分かった行ってくるから!」
「最初からそうしやがれ」
こうして赤ずきんは森の奥に住んでいるおばあさんのところまで、ワインと焼き菓子を届けることになりました。
「はぁ…なんで俺が…。俺あの人あんまり好きじゃないんだよね…」
一人で小道を歩く赤ずきん。
そこに立派な耳としっぽを生やした狼がやってきました。
「ねぇ、そこの君」
「うわぁぁ!吃驚した…、ってあれ?狼さん?」
「こんなところに一人で…これからどこに行くの?」
「あ、えっとおばあさんにワインとお菓子を持って行くんです。なんか身体壊しちゃったみたいで…」
「ふぅん…、ま、興味無いけど。この森の風紀だけは乱さないでね」
狼さんは懐からトンファーを取り出して赤ずきんに突きつけました。
「ひ…っ!ご、ごめんなさい!」
「―――あ、セリフ間違った…」
「え?」
「なんだっけ…あぁ。…近くに綺麗なお花畑があるんだけど、良かったらおばあさんに持っていかないかい?」
「いっいえ…!大丈夫です!」
「持ってかないと咬み殺すよ」
「結局そうなるんですか!?」
赤ずきんはおばあさんにお花を摘んでいくことにしました。
そしてなぜか狼さんがずっと後ろについて来ます。
何でついて来るんですか、そう聞けないままおばあさんの家についてしまいました。
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