[携帯モード] [URL送信]
□迷子
※雲雀さんは中学生のままで、ツナは5歳











「雲雀さんのバカ!もう知らないもんね!」



俺はそう言って雲雀さんから離れた。
目から水が出てきてしょっぱかったけど、頑張っていっぱい走った。


「うえぇぇぇぇぇんっ」


いっぱい走って走って、転んじゃったけど我慢してまた走った。








疲れて歩いた時は、知らないところにいた。








「う、うぇ…っ、ここどこぉ…」


知らないところには一人で来ちゃダメって雲雀さんに教えてもらったのに…、
どうしよう約束破っちゃった…。


「ひっく…、雲雀さんに嫌われちゃうよぉー…」


喧嘩しちゃって、悪いこと言っちゃって、雲雀さんすごい怒ってた。
雲雀さん見てたら怖くなっちゃって、逃げてたら迷子になった。


「俺のバカちぃぃぃん…!バカバカバカぁぁ!」
「おや?」


そしたら後ろから声が聞こえた。
見てみたら知らない男の人で、なんか変な頭だった。


「クフフ、どうしたんですか。迷子ですか?」
「ひゃぁぁぁぁぁ…!パイナップルおばけー!」
「な…………」
「うわぁすごい!初めておばけに会っちゃったー…!」


雲雀さんはおばけなんていないって言ってたけど、ちゃんといたもんね。
帰ったら教えてあげなきゃ。


「…ムカつきますが迷子を放っておくほど、僕も悪じゃありません。坊や、おうちはどこですか?」
「あ、知らない人と喋っちゃダメって雲雀さんが言ってた…」
「雲雀?それが君の保護者ですか?」
「ほごしゃって?」
「ああ、お父さんとお母さんって意味ですよ」
「雲雀さんは隣のおうちのお兄ちゃんだよ!すっごく優しいんだからっ」



俺は雲雀さんのことを頑張って教えてあげた。
優しくて格好良いいこととか、いつも遊んでくれることとか、でも今日喧嘩しちゃったこととか。
パイナップルは難しい言葉言いながら、ちゃんと聞いてくれた。



「仲いいんですね」
「うん!だって雲雀さんのこと大好きだもんね!」
「…っ、君…可愛いですね」
「ん?」


パイナップルが俺の頭を撫でてきた。
そしたら雲雀さんの大きな手を思い出して、またしょっぱい水が出てきた。


「…う、うぇぇぇん、ひっく…」
「ちょっ、いきなりどうしたんですか!そんな大声で泣いたら―――」
「綱吉?」




大好きな声が聞こえた気がした。

泣きながら顔を上げたら、大好きな人が目の前に立ってた。




「綱吉、泣いてるの?」

「…うう、雲雀さぁぁぁぁぁん!」


俺は雲雀さんに抱きついた。
いい匂いがして、しょっぱい水が止まった。


「もう探したよ。なんで泣いて―――君、綱吉に何したの」
「え、僕ですか?僕は君が現われなかったらその子を貰っていこうと―――」
「咬み殺す」


雲雀さんがあの怖いやつを取り出して、パイナップルに投げた。
それをパイナップルは簡単に避けて、文句を言いながら帰って言った。



俺は考えてた言葉で謝った。


「俺、ごめんなさい!悪いこと言っちゃって約束破っちゃって…」
「もういいよ、僕も悪かったしね。大人気なかった」
「ごめんなさい…。だから、えっと…」


嫌わないで、って言いたかったのに声が出てこなかった。
そしたら雲雀さんが手を握ってきて、


「とにかく今日は帰ろう。ほら」
「…う、うんっ」



繋いだ手は大きくてあったかかった。

雲雀さんが来てくれてすごく嬉しかった。




「…あ、雲雀さんっ、あのねさっきパイナップルの―――」


END


ムクツナに近かったです(笑)
ショタ好きですが書くとなるとかなり抵抗ありました…(汗)

ありがとうございました!

[*前へ][次へ#]

9/23ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!