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■静寂に咲く花
※死ネタ




















「泣いてるの、綱吉」




頭上から降ってくる小さな呟き。鼓膜を震わす優しい声。




「だって…っ、俺の所為で雲雀さんがっ…」

「何言ってるの、君を守るのが僕の仕事でしょ。こんなの大したことない」




そう言ってくれるのは嬉しい。
でも罪悪感や罪責感を感じないわけがなくて。俺はただひたすらに涙を流すことしか出来なくて。




「でもっ…、ごめん、なさい…俺が弱いから、馬鹿だから…」

「もう黙って」


宥める言葉と共に舞い降りてきたキスに、舌を絡ませて答える。
俺が思い通りにならない時の、雲雀さんの癖。


「ずるいです、雲雀さん…。そうすれば俺が抵抗できなくなるって知っててする」

「本当のことでしょ。…っ、ごめん、少し横になりたい…」

「雲雀さん!」


腹部に目を落とすと徐々に衣服に染みていく紅。
先程まで小さな染みでしかなかったのに、今では上半身の半分を占領している。




俺をかばって出来た傷―――。




「少しだけ、目を閉じるだけだから…っ、心配しないで綱吉」

「雲雀さん!ごめんなさ…、雲雀さんっ」

「泣かないでよ、君の泣き顔なんて見たくない。君は…、笑ってる方がいいよ」

「雲雀、さん…」




それから貴方はゆっくり目を閉じて、握っていた手から力が抜けていくのが感じられて、












それからもう起きなかった。












紅に染まった顔も唇も身体も、何故か美しくみえてしまって。
まるで紅い薔薇を散らしたような綺麗な貴方を抱きしめると、俺にも薔薇が転移して染め上げる。




このまま俺も寝ちゃおっかな―――。




そうすれば今より楽になるんじゃないか。
貴方のいない世界なんて、生きている意味がない。
無色無音、真っ白な空に大地に感情に、未来―――。


「雲雀さんがいつも傍にいてくれたから、そこが俺の居場所だったんです…」


俺が全部悪いのに、貴方は何も悪くないのに、俺の所為で貴方は―――。




敵のアジトに無断で侵入したのは、根拠のない自信があったから。
自分勝手な行動が皆にどれだけ迷惑をかけたか、冷静な今なら痛いほど分かるのに。


「あいつら雲雀さんを侮辱したんだ…、『どうせそのうち俺らみたいに汚れるんだ』って、雲雀さんはあんな奴らとなんか一緒じゃなにのに…、雲雀さんは綺麗なのに…」


我慢出来なくて、そんなことを言う奴は死んでもいいと思った。

でもどうせ死ぬなら俺の手で―――。


今頃皆があいつらを倒してくれているだろうか。
皆俺を心配してくれて、助け出してくれて、憎しみの対象に止めをさしてくれて。

でもごめんなさい。どこまでも自分勝手でごめんなさい。

俺は、大好きな人と一緒にいたいです。


「前に言ってくれましたよね、ずっと一緒だって。俺も雲雀さんとずっと一緒にいたいです…」




薔薇の花弁は増え続ける一方で、紅に溺れた貴方は本当に美しくて、絵画のようにも思える。
その光景を目に焼き付けて、狂おしいほど愛おしい人の隣に横になる。
隠し持っていたナイフを自分に突き刺せばまた貴方に会えるのだから、こんなに嬉しいことはない。


「雲雀さん、大好きです…」









また違う未来で、運命を共にしましょう

今度こそ一緒にいられる世界で、また愛し合いましょう


END


PCに保存してある1/3はシリアス・死ネタだったりします(笑)
こういう話ってセリフが激減します…

ありがとうございました!

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