□似た者同士 俺の生徒手帳の中には隠し撮りした雲雀さんの写真が入っている。 撮ったのは俺じゃなくて、リボーンだけど。 その頃既に雲雀さんのことが好きだった俺は、喜んでその写真を受け取り、いつも持ち歩いている生徒手帳に挟んでおいた。 それが今日、雲雀さん本人に見られた。 「……何、これ」 「え、えっと…雲雀さんの写真、です……」 「そんなの見れば分かるよ。僕が聞いてるのはどうして君がこんなのを持ってるかってこと」 「は、はぁ……」 ―――最悪だ。 廊下で雲雀さんとばったり会った瞬間に驚いて、手帳を落としてしまった。 雲雀さんが珍しく優しくて拾ってくれたけど、ただ挟んであるだけのブツは、舞うように滑り落ちて―――。 結局本人に見られてしまった。 「君、ストーカー?」 「なっ、違います!これはリボーンが勝手に撮って、俺に持ってろって煩くて…」 「俺は持ってろなんて言ってねぇぞ」 突如割って入ってきた声の方を向くと、リボーンが窓の淵に座りこちらを観察していた。 「やぁ、赤ん坊」 「リボーン!学校に何しに来てんだよ!誰かに見られたら…」 「雲雀が追い払ってくれる」 「そういう問題じゃないだろ!」 というか、どうしよう。 これで写真のことは嘘が吐けなくなってしまった。 俺、絶体絶命。 「あの、すいませんでした!もうこういうことしないんで…!ほらっリボーンも謝れよ!…嫌な思いさせてしまって、本当にごめんなさい」 深くお辞儀をして謝罪の言葉を繋いだ。 一刻も早くこの場から立ち去りたい気持ちで一杯だったが、一応ちゃんと謝っておいた方がいいと思った。 「……別にいいよ。主犯は赤ん坊らしいし」 「言うようになったな雲雀。でもお前だって人のこと言えねぇだ―――」 「煩いよ」 「え?」 雲雀さんが鋭い目つきでリボーンを睨んだ、気がした。 一瞬すぎてよく見えなかった。 とにかく許してもらえて本当に良かった。 「ツナ、帰るぞ」 「お前一体何しに来たんだよ…。じゃ、じゃあ雲雀さん、いろいろとすいませんでした!さようなら…!」 「うん、また明日」 俺は逃げるようにして雲雀さんの元を離れた。 羞恥と後悔でどうにかなってしまいそうな重い心を引き摺って。 沢田綱吉が昇降口から出てくるのがちょうど応接室から見えた。 あたふたしていて、落ち着きがない。 僕は携帯を取り出して、去っていく草食動物にピントを合わせた。そのままシャッターを押す。 「ワォ、綺麗に撮れた」 携帯の待ち受けと、今撮った写真と、君を記したものは二つしかないけど、 少しだけ、君に近づけた気がした。 END 「似た者同士」というテーマで書かせていただきました^^ 速書きですが、ちゃんと完結出来て良かったです(笑) ありがとうございました! [*前へ][次へ#] [戻る] |