□バカップル×パイナップルの日常
※【リア充×変態はこうなる】の続編
煩い。すごく煩い。鬱陶しい。邪魔。目障り。
今まであの男にはそんな感情を抱いていた。
でも今並べた言葉はまだマシな方で、本当はもっと残酷なことを心の中で思ってる。
だけどそれを口にするとあの子が嫌な思いをすると思って、普段は言わないように心掛けてきた。
でもそれも今日で限界―――
「…君さ、いつまでそうしてるつもり?」
「クフフ、恭弥君が綱吉君を手放すまでですよ」
そう言って六道骸はゆったりと足を組み直して、更に深くソファーに座り込んだ。
いつの間に用意したのか、応接室に置いてある来客用の紅茶と焼き菓子もしっかりと机の上にスタンバイしている。
…本当に殺してやろうか、この男。
「君が邪魔で風紀委員の仕事が進まないんだけど」
「そんなことは僕に関係ありません。言ったじゃないですか、貴方を見張っておくと―――」
六道骸は僕と綱吉が身体を重ねた瞬間を見てしまったあの日から、毎日のようにこうして僕にまとわりついている。
最初はその憎たらしい姿を現す度に咬み殺していたけど、今ではもうそんな気も起きない。
何度咬み殺しても次の日には何事もなかったかのように僕とあの子の邪魔をしてくる。邪魔。とにかく邪魔。
(最近あの子と二人きりに慣れてない気がする…)
もうそろそろ咬み殺すだけでは満足できなくなってきた。気が済まない。
やるなら本当に―――
「…これ以上僕達の邪魔をするようなら―――」
殺すよ、そう言おうとしたその時、廊下から慌ただしい足音とノックが聞こえた。
「失礼します雲雀さん!骸が来てるってほんと―――って何やってんですかああああ!」
返事を聞かず乱暴に扉を開けた綱吉が、僕のトンファーを指差して後ずさった。
(っていうか足音で分かる僕も重症だよね…)
「綱吉君!昨日ぶりですね、元気でしたか?」
「だからなんで今日も骸がいるんだよ!雲雀さんもそんな物騒なもの閉まってくださいよ!」
「チッ…」
「あっ、今舌打ちしましたね恭弥君!一体僕に何しようとしてたんですか!」
「言わなきゃ分かんないの?相当馬鹿なんだね君…」
「ええ、ええ、僕は綱吉君馬鹿ですよ!悪いですか!」
「それは僕だけで十分だよ。綱吉馬鹿は二人もいらない」
「何勝手に人の名前使ってるんだよ!雲雀さんも張り合わないでください!」
綱吉が僕の腕を懸命に引っ張って六道骸から引き離そうとする。
その絡められた手にでさえ意識してしまうのだから、この子に対して僕は相当溺れていると思う。
誰かにここまで執着するなんて自分らしくない。でも綱吉が好きなのは変わりようのない事実。
こんな自分を認められるのもこの子の前でだけだ。
だからあの時六道骸がいきなり現れて僕しか知らない綱吉を見られてしまったことは、心の底から後悔していた。
(確か前もこんな言い争いがあったな。こいつも全然反省してないし)
僕はわざとらしく大きな溜息をついて綱吉を引き寄せた。
「うわ…っ」
「綱吉は僕のだよ。いくら君が僕を監視したって手放すつもりはないし。それに―――」
そこで言葉を遮ると、綱吉の頬を掴んで無理矢理僕の方を向かせた。そのままキスをする。
「んん…っ!ん…ぁ、ひば…んっ」
「な、な、な…!」
おどおどしている六道骸を横目で見ながら、更に舌を絡めて深くした。
長く深く続いたキスの後、ちゅ、と音を立てて唇を離す。
「それに、君はこんなこと出来ないでしょ?」
僕は目を細めて軽く口の端を上げた。
我ながら、見せつけるなんて馬鹿馬鹿しいと思う、けど…
(この変態パイナップルはこうでもしないと懲りない…!)
「「な、何するんですかああああ!」」
ワオ、かぶった。
「骸がいるのに…!骸の前なのに…っ」
「何見せつけちゃってるんですか!そんなに僕が邪魔ですか!」
「うん」
「貴方が綱吉君を手放せばすぐにいなくなりまよ…!さあ、僕のところに来なさい綱吉君!」
「は…?え、え、だって俺…」
「ほら、君なんて嫌いだってさ。分かったらとっとと消えてよ」
「ぐ…っ」
さすがにここまで言うと言い返すことが見つからないらしい。まさに負け犬の遠吠え。
すると隣で静かに抱きしめられていた綱吉が見じろいだ。
「っていうかなんか勝手に話進んじゃってますけど…っ」
(あれ、)
「雲雀さんは骸がいるのにいきなりキスするし、骸は最近雲雀さんとよく一緒にいてずるいし…!」
「綱吉?」
「もう二人とも大っ嫌いですよ!馬鹿ああああ!」
こうして僕達は強烈なパンチをくらい、1週間ほど口を聞いてもらえなかった。
END
サンドウィッチなツナでした。
というかキャラを何処に置いてきちゃったんですか皆…(汗
ただ見せつけるのがやりたかっただけなんです…
ありがとうございました!
2012/12/2
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