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■それが叶うなら
※暴力表現有




















『狂気』、それは―――














破裂音に似た音が雲雀さんの寝室に響き渡った。

一瞬思考が遅れて、後から来た痛みは今まで受けた中で一番刺激的なものだった。




「雲雀さん…俺、ごめんなさ…」




片手で頬を抑えながらもう片方で涙を拭う。
しかしいくら拭ってもそれが止まることはなくて、俺の手や服を容赦なく濡らしていく。




「君、何度言えば分かるの。それとも僕を苛々させたくてわざとやってるの?」

「違…っ、…ごめんなさい…これからは気をつけますから、もうこれ以上は…っい!」

「だから、それが苛々するんだよ。本当は痛いの好きな癖に」




胸ぐらを乱暴に掴まれて身体中のあちこちが一斉に悲鳴を上げた。



思えば見えるところに傷をつけられたのは初めてで、いつもは衣服でぎりぎり隠せるところに傷をつけられていた。
つまり逆に言えば、周りから見えないところは傷だらけだ。



(頬が痛い…なんかぼーっとする…。本番はこれからだってのにやばいな…)











雲雀さんがおかしくなったのは1ヶ月くらい前からだ。

元々嫉妬深い雲雀さんは、俺が群れてたり獄寺君や山本と一緒に居ると苛々するらくして、よく噛み殺された。

最初はただの不器用な愛情表現だと思っていて、
それだけ俺のことを想ってくれているんだって思うと胸が温かくなって、俺もそんな雲雀さんが好きで。








でも歪んだ愛情表現はどんどんエスカレートしていった。








小さな傷をつけることから始まって、いつからか殴られるようになって、気付いた時には無理矢理抱かれるようになって。


今日も獄寺君達と話しただけでこの部屋に連れてこられた。


俺は心も身体もボロボロで、この人から逃げる気力もとっくに失っている。








『綱吉、怖がらないで。これは僕が君を想ってる証なんだから』




『誰よりも好きだよ。だからこれからも僕の傍にいてほしい』




『君がいれば他に何もいらないから』








その手から受ける痛みとは裏腹に浴びせられる甘ったるいセリフは、俺の心を繋ぎ止めて放そうとしない。


(そんなこと言われたって…どうしろっていうんですか)











俺はベットの上に放り投げられて、まず衣服を無理矢理剥ぎ取られた。
露わになった肌にはいつ受けたのかも分からない無数の痣が残っている。
雲雀さんの長い指が痣を軽く伝うだけで激痛が走ったけど、唇を噛みしめて何も感じないふりをした。


「まだ残ってるんだね」

「…雲雀さんが付けたんじゃないですか。すごく痛かったんですよ…」







―――ごめんなさい、俺が悪いなら何度でも謝ります。



だから、お願いだから…、




俺の大好きだった雲雀さんに戻ってください。




あの優しかった貴方に戻ってくれるなら、






俺は他に何もいらないから…。








「泣かないで。―――好きだよ、綱吉」






だけどそれは叶わないらしい。














『狂気』、それは僕が誰よりも君を想ってる証拠―――。


END


黒い雲雀さんでした。
本番まで書けませんでした(笑)

ありがとうございました!


2012/10/22

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あきゅろす。
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