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stand by ME


 痛い、そう聞こえたのは嘘だろうか。


 ――ああ、嫌。こんな自分が。


 歳も近いし、本当ならもっと近付けるはずなのに。
 嫌。こんな自分と、そう思わせるコイツが。


「……まだ、寝てないの」


「うん」


 返事は意外に早く返ってきた。内心ホッとしているが、この後がどうしても続かない。


「あのさ……痛いところがあったら、エステルにでも頼んで治してもらいなさいよ」


 ――もう、あたしってば、どうしてこんな言い方しかできないんだろ。


 案の定、返事は返ってこなかった。









 時計の針が2時をさした頃、リタはまだ眠れずにいた。向こうを向いて眠っているカロルは何を思っているのかが気になった。


 ――あたしと一緒だなんて、つまらないよね。


 カロルとは違う。いくら歳が近くても考え方は正反対。カロルの言動や行動に「バカっぽい」やら「ガキ」と思うことはしばしばだし、夢なんか追いかけるだけ無駄だと思っていた。
 それが今になって変わりはじめた。仲間に出会えたことで、友達と言える存在ができたことで、昔ほど夢を見るのも悪くないかと思うようになったし、バカ騒ぎをしている姿をさほど欝陶しく思わなくなっていた。
 ただ、まだ手の届かないところにある心には触れられない。まだ解けない、難しい公式があった。


「痛いって、心が、かな……」


 リタは自分のベッドから下りてカロルの元へ行く。みんながよくやるように、自分もカロルの髪を撫でてみたくなった。


「あたしより、長かったりして」


 セットされていないカロルの髪は長い。髪をセットするくらいなら切ればいいのにと思ったこともあったが、今はカロルにはカロルなりの何かがあるのだろうと思うようになった。


「カロルは、愛されてていいね」


「…………ん?」


 リタは慌ててしゃがみ込んだ。


「あれ……リタの声……じゃなかったのか……」


 カロルはムクッと起き上がったが、すぐにベッドに横たわった。









「ねえ、リタ昨日、どこで寝てたの?」


 朝になって、出発の支度をしている最中に飛び込んできたのは、カロルなりの心配の声だった。


「ちゃんとベッドで寝てたわよ。カロルこそ、ちゃんと寝てたの?」


「寝てたよ。ちゃんと」


 と、言ったそばから大きなあくび。リタはクスクス笑った。






 ――あたしだってまだ14なのに、羨ましい。甘えたいのよ、誰かに。


 今日の空は、いつにも増して綺麗な空だ。




end.
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 リタカロ〜。とりあえずリタが甘えたいという話。カロルは許されそうなことがリタはダメだったりしそうだし、そういう点ではリタは欲求不満でしょう。
 我が家のヴェスペリア一家はユーリもフレンもレイヴンも矢印がカロルに向いているので、リタもカその流れに便乗です(^^;)。ナンを入れると5人ですか……あ●のりより競争率激しい(笑)


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