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小説(戦国創作)
泥沼(コタ官/2)
↑の続き









「…官兵衛殿っ!吉報ですぞ!」



小姓の案内で氏政の部屋に通された官兵衛に興奮気味の氏政がそう言った。



「北条殿。いったいどうしたっていうんだ。」


「今しがた、知らせがあってのう。関ヶ原で徳川が石田を討ち取ったそうなんじゃ。…あの忌々しい豊臣を討ち果たしてくれたのじゃ!」


「…石田が、権現に…?」


「そうじゃ!……如何したか官兵衛殿?そのように浮かぬ顔をして。」


「…いや。なんでもないんだ。」


「…そうじゃ!そしてな官兵衛殿。徳川から官兵衛殿に文が来ておるのじゃ。はてさて一体どこで官兵衛殿が小田原におると知ったのかは分からぬがなぁ。」


「…っ!権現から文っ…だと?」


「そうじゃ?ほれっ。これじゃよ。」



氏政から差し出された文を受けとる官兵衛の手は、小太郎には心なしか震えて見えた。





氏政の部屋から自室へ戻る途中官兵衛は小太郎に話しかけた。



「…風切羽。今夜は小生を一人にしてくれんかね。部屋には誰も近付けんでくれ……。」









翌日の朝。氏政の部屋には部屋の主である北条氏政と、それに向き合って座る官兵衛の姿があった。



「明日、小生は小田原を発つことにした。明日一番に権現からの迎えが来る。」


「昨日の文が関係しとるのか?」


「江戸城を再建するのに協力して欲しいとのことだ。


……それに、もう北条殿に迷惑はかけられん。」






その様子を天井裏から見ていた小太郎はわずかな胸騒ぎを覚えた。


(何だ…?何かが起こりそうな気がする。…この胸騒ぎは一体…?)








辺りは暗くなり皆が寝静まった頃、官兵衛の部屋にはまだ明かりが灯っていた。



「…風切羽。いるか?」


官兵衛の前に黒い影が音もなく降り立った。


声もなしにそこに立つ忍に官兵衛はゆっくりと話し出した。



「お前さんに礼を言おうと思ってな。…最初あんな事を頼んできたから、おかしなやつだと思っただろ。すまんかったな。
頼れば迷惑になると分かってはいたが、頼れるのが北条殿しかおらんかったのだ…。」



その話をただ聞いていた小太郎はふいに官兵衛を優しく抱き締めていた。


そのときの官兵衛はあまりにも哀しく、今にも泣きそうな顔をしていた。


「…っ!?ど、どうした?」



小太郎は抱き締めていた腕を緩め、紙にサラサラと書き付けていった。



『あなたがあまりにも哀しそうな顔をしていたので。』


「…おまえさんにまで、心配かけちまったな。……でも、そんなに優しくせんでくれっ!

…もっとおまえさんと一緒に居たいと、叶わぬ望みにすがってしまいたくなる!」


『俺とですか?』


「ああ、そうさ…。」


『どうしてですか?』


「…おまえさん、それを小生に言わせる気か?」

『俺は、知りたい。あなたがどうしてそんな哀しそうな顔をするのかも、なぜそのような望みを叶わないとするのかも。』


「すまない…。風切羽。それだけは言えんのだ…。」









翌朝、官兵衛は徳川からの迎えに連れられ江戸へと発った。


結局、官兵衛は何も明かさぬままだった。



(一体何なんだ…。何故こんなにも官兵衛を徳川に渡してはならないなどと感じる?官兵衛は自らの意志で小田原を発ったというのに…。)







→あとがき
カモーン文才。

物語の構想だけはいっちょまえにあるのにそれを再現する文才は無しww


ぐだぐだ大変申し訳ないですorz

まだ続きます。

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