B ロゼリアは、少し言いづらそうにしながらも言葉を続けた。 「彼女の名前はアリシア・ティフィオール、ルーク様の母君、シュザンヌ様の双子の妹の一人娘です。」 「ふ・・・たご?」 なんだそれ、となかなか理解できないルークは、目を見開いて固まった。 「ちょっと待て、そんなの今も前の時も聞いたことないぞ。」 そう、前の時も聞いたことがない。 とすれば、イレギュラーな存在か、俺が単に知らなかっただけか・・・。 「・・・今のところ前王と現王しかお知りになりません。」 「母上も知らないのか?だって自分の双子の・・・、双子だから・・・か。」 最後まで言わなくてもロゼリアは理解して、頷いた。 キムラスカにある決まりのようなもの。 双子は忌み子 長い歴史の中で、双子が生まれると必ずといっていいほど王位争いがあった。 それが男であっても、女であっても。 だからキムラスカ王家では、双子の片割れ、あとから生まれた子供をばれないように葬り去ってきた。 時には、誰も知らない所に流したり、亡きものにしたり、隠れて育てたり。 どうやらシュザンヌの妹は流されたようだ。 [*前へ][次へ#] |